WEBテスト替え玉受検で初の摘発。依頼した女子大学生らも書類送検
「当時は、人助けをしていると考えていました。法律に違反しないので、グレーだと思っていました」
法廷に現れた被告・小野博史(仮名・29歳)は、体育会系のビジネスマンに見えた。犯罪の内容から線の細い人物を想像していたので、意外な感じがした。
彼が起訴された犯罪は、“替え玉受検”。クレジット会社や商社など、3社の入社試験のWEB適性検査のコンピューターサーバーに入り、受検者になりすまして回答して報酬を得ていた容疑だ。
WEBテストは、企業が“就活”学生を対象にオンラインで行われる。語学や計算能力などの基礎問題で、面接試験に進む足切り試験として実施されることが多い。
事件は、インターネット上の違法情報を取り締まるサイバーパトロールで、警視庁が被告のツイッターアカウントを見つけて発覚した。
WEBテスト替え玉受検では初の摘発で、小野被告に依頼した女子大学生らも書類送検された。

SNS上でWEBテスト代行を募集、1件2000円で合計400万円の報酬
この事件の犯行手口も、驚くほど単純だった。依頼者からIDとパスワードを送付してもらい、なりすまして受検するという方法。たったこれだけ? ほかに本人確認の必要があるのでは、と思ってしまうほど。
最初は斡旋業者の依頼で代行をしていたが3年前から直接、依頼者を募り始めた。1件2000円で約300人から複数回依頼されて、合計約400万円を受け取っていた。得た報酬は、高価な外食、ブランド物のバッグや靴、旅行代金などに使ったという。
替え玉受検をしていた小野被告は、京都大学大学院を卒業し、関西の有名企業に勤務していた超エリート。海外視察のメンバーに選ばれるなど、会社でも期待されていたという。
ツイッターには、被告の華麗な略歴と紹介文が掲載されていた。
《京都大学大学院卒。元外コン勤務。ウエブテ請負経験約4年。通過率95%以上。2科目4000円でウエブテスト代行します。計4000件以上》
※元外コン=元外資系コンサルタント会社、ウエブテ=ウエブテスト