大学時代に所属していたゼミは「経済学」のゼミでした。担当の先生は穏やかで、いろんな質問に丁寧に答えてくれる方でした。いくつか印象に残っている言葉がありますが、今回は表題の一文。イギリスの経済学者であるマーシャル氏は、福祉事業にも造詣が深い人物だったそうです。私の記憶は曖昧ですが、同氏は「福祉を志す人は、ある分野について冷たい頭でどれだけ分析しても何の意味もない。大切なのは人間への熱い思い。その思いがなければ仕事への意欲も工夫も生まれない」と話したそうです。

 この話は特に福祉に限ったとではなく、仕事や研究などいろんな分野で共通しているように思うのです。頭でっかちではなく、人と向き合う「心」を持て! ということ。この言葉を紹介してくれた私の先生は「経済学を通して世の中を見る目を養う=人間と向き合うこと」を私たちに学んで欲しかったのかもしれません。先生は、コロナ禍の中に大学を定年され、名誉教授として週に何回か講義をしているそうです。(文)