A子さんの両親に対するSNS上での中傷も

 青田被告の非道な犯行は、多くの人々を傷つけた。

 夫のパソコンから性的画像を発見したとき、青田の妻はどれほどの衝撃を受けただろうか。被告の妻が、A子さん家族に謝罪するという決断をしたからこそ、事件が発覚したのだ。

 一方、被害者A子さんの両親は、インターネット上で中傷された。

「1回だけならともかく、10回とは。親は不用心すぎる」

「親も知ってたんじゃないか。弱みを握られてたんじゃないか」

 確かに注意が足りなかった部分はあるかもしれない。しかしそれは、青田被告を信頼しきっていたという証(あかし)でもある。信頼していた友人に裏切られ、自分の娘に一生残るかもしれない心身両面の傷を負わせてしまったのだ。

 A子さんは肉体的、精神的な苦痛が大きく、日常生活にも大きな影響がある、という。法廷には、傍聴席からは見えないように大きな衝立があった。その向こう側には裁判を注視していたA子さんの家族がいたのだろうか。

 事件が発覚するまでの8年間──。多感な年ごろのA子さんは、誰にも相談できず、ひとりで悩んでいた。そして事件が発覚してからは、自分の心の奥底に封印していた“痛ましい過去”と、正面から向き合わざるをえなくなったのだ。

 現在、20歳を迎えたA子さんの心情を慮(おもんぱか)ると、これからの“輝かしい未来”を願わずにはいられない。


《執筆者プロフィール》
青山 泰 (あおやま・たい) 山口県生まれ。慶応大学法学部法律学科卒業。週刊誌で事件取材、皇室取材などを担当。月刊誌や医学書で編集&ライター。現在は、定期券で東京地裁に通い、ほぼ毎日傍聴を続けている。趣味はスパイスカレー作り。32種類のスパイスを常備し、究極カレーレシピ作成の試行錯誤を続けている。