「尊い」「爆誕」「好きすぎる」
放送中の朝ドラ『らんまん』で、登場人物たちが口にしたセリフです。主人公の植物学者・槙野万太郎(神木隆之介さん)は明治初めの生まれ。今どきの若い人のような言葉遣いに「おや?」と思いましたが、そういえば昨年のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』でも時代劇らしからぬ現代語のセリフが注目されましたっけ。
もしかしたら私たちが知らないだけで、当時は今以上にユニークで斬新な言葉で日常会話が成り立っていたのかもしれませんね。そんな脚本の妙も本作の見どころですが、ほかに名セリフがいくつも散りばめられています。その中で私の心に刺さったのが、ドラマ序盤のシーンで出てきた一言。
身体が弱く学問所になじめない万太郎少年に、学頭の池田蘭光(寺脇康文さん)が手を差し伸べます。ある日、万太郎が初めて見た草花に目を輝かせて「ぞくっときた」と言うと、蘭光先生はそれに答えて「心が震える先に金色の道がある」。人生はすなわち冒険であることや、自ら信じる道を歩むことの崇高さを教えてくれます。私も、中年になって忘れていた気持ちが奮い立つような感覚になりました。(純)