本寸法は、「ほんすんぽう」と読みます。私自身、たまに使っていたのですが、今回改めて調べてみたら、ほとんどの辞書に載っていない言葉でした。ネットで調べると、「落語などの芸が崩されておらず、本来の形であること」という解釈となっています。

 確かに、初めてこの言葉に接したのは落語家・柳家喬太郎氏の『時そば』の導入部でした。
立ち食いそばが大好きな喬太郎氏は、「コロッケそば」に着目。そばにコロッケを乗せるという発想に感心しつつ、当のコロッケはどう思っているのでしょう? と話を運びます。

 擬人化したコロッケたちの会話の中で、
コロッケA「君はどんなふうに食べられたいの?」
コロッケB「うーん、ボクはやっぱり揚げたてをソースで」
コロッケA「いいねぇ〜本寸法だねー」

 ここでいう、「本寸法」はコロッケ本来の標準的な食べ方を指しているのでしょう。前後の文脈でなんとなく意味は理解していましたが、今回調べてみて、実はあまり一般的な表現ではないことを知りました。私も落語好きな人たちとの会話の中で使っていたように思います。しかし、なんとなく好きな表現なんですよね。本寸法!(文)