この季節に、なんでユーミンの冬の定番ソング!?

 それは今週、放送された情報番組『バラいろダンディ』(TOKYO MX)での、言語学者・川添愛さんによる「『恋人がサンタクロース』は、なぜ『恋人はサンタクロース』ではないのか」というテーマの考察にフムフムしたから。要するに「が」と「は」の助詞が持つニュアンスの話です(ここからは『恋人がサンタクロース」を思い浮かべながらお読みください)。

 曲の冒頭部に《今夜8時になれば サンタが家にやって来る》と、隣に住むおしゃれなお姉さんが「私」に教える場面があり、ここでまず「サンタ」が出てくるのがポイント。サンタの存在を信じない「私」に、お姉さんはあなたも大人になればわかる、とウィンクする──という前段を受けての、有名な《恋人がサンタクロース 本当はサンタクロース》のサビに続きます。お姉さんが言うサンタは想像上のキャラクターではなく、彼氏や恋人こそ「が」サンタクロース(的な存在)だということですね。もし《恋人はサンタクロース》だと、そうした意味がぼやけてしまいます。

 志村けんさんの代表的なギャグ「私が変なおじさんです」が「私は変なおじさんです」ではないのも同じ理屈。女性へのいたずらがバレて、「何だ、君は」と問い詰められた志村さん演じる変態男が答えるセリフですが、その前に女性から「このおじさん、変なんです!」と訴えられるのがコントの基本パターン。コミカルな演技で変態ぶりを十分に印象づけてからの「そうです、私が変なおじさんです」には、他の誰でもない我こそ変なおじさんだというプライドすら感じます(笑)。

 それにしてもユーミンの名曲と志村さんのネタにこんな共通点があるとは、思いもよらないことでした。(純)