江戸時代の俳人・横井也有の作品だそうです。ここでいう尾花はススキのことです。個人的には「幽霊の正体見たり枯れ尾花」を先に知ったのですが、どうも横井氏の作品が元祖のようです。こわいと思って見ていると、なんでもないモノでも恐ろしく思えてきてしまうということの例えとして使われています。

 50代の私が子どもの頃、毎年8月のお盆の時期になるとお昼のワイドショーや夜の特番では怪談や心霊現象を特集した番組のオンパレードでした。怪奇体験の再現ドラマなどは子どもの頃の私には、トラウマになるほど怖いものでした。夏休み、学校のプールや午前中の遊びから帰宅して『あなたの知らない世界』の心霊写真特集に釘付けになった世代です。

 小学校高学年の頃「口裂け女」が一大ブームになりました。クラスの友人が「隣の中野区に現れた」という情報を掴むとクラス中がパニックになったものです。ちなみに私は練馬区在住。今思えば非科学的なこと、この上ないのですが、当時の練馬区はまだ街灯が少なく、夜になると暗い道がそこかしこに残っていて、いつ「口裂け女」に出くわしてもおかしくない環境だったのです。区内にあった遊園地『としまえん』(2020年8月いっぱいで閉園)のお化け屋敷にも本物が出るという噂がずーっとありました。

 いつの間にか地上波のテレビでは「心霊番組」が減ってしまいましたが、Youtubeでは今でも「怪談師」と名乗る語り部が、怪異話をアップしていて、ゾクゾクします。これも古い話ですが、テレビではなくラジオで聴く怪談、しかも深夜番組での怪談もとても怖かった。聴かなきゃいいのに、どうしても聴いてしまう、そんな魅力がありました。酷暑が続き、怪談ぐらいでは涼は取れないかもしれませんが、ちょうどお盆ですし、皆さんも今晩あたり怪異の話に耳を傾けてみてはいかがでしょうか?(文)