お盆はご先祖さまに思いを馳せる時期ですが、作家で僧侶の玄侑宗久さんによる興味深い談話を見つけました(福島テレビ『玄侑宗久の色眼鏡』2022年8月2日放送)。

 人は誰でも、血を分けた曽祖父と曽祖母が合わせて8人いて、その親は16人、さらにその親は32人。このように遡(さかのぼ)っていくと10代前の先祖は1024人(!)いるわけです。日本の人口が1億人だとすると、1024人のうち数十人は同じ人物でなければ計算が合いませんから、みんな親戚なんですね

 この1024人の中にはとても立派な人物がいるかもしれないし、とんでもない悪人がいるかもしれない。普段は考えることもない無数の先祖たちに「心安らかに成仏してください」と博愛精神で供養をするのが大切だというのです。

 もうひとつ紹介したい言葉が「人っていうのは二度死ぬんだよ」。放送作家で作詞家の永六輔さんが生前、娘でエッセイストの永麻理さんや周囲の人によく話していた持論で著書にもこう綴っています。

 《最初の死は、医学的に死亡診断書を書かれたとき。でも、死者を覚えている人がいる限り、その人の心の中で生き続けている。最後の死は、死者を覚えている人が誰もいなくなったとき》。

 私事ですが明日は父の墓参りをする予定。永さんの説によれば私や家族の中で父はまだ生きていますが、戸籍謄本でしか存在を知らない曽祖父や曽祖母にも手を合わせようと思います。(純)