みなさん、今年の甲子園はご覧になりましたでしょうか。私は例年に比べると、所々見たり見なかったりで、気が付くとあっという間に決勝戦になっていました。

 特に今年の決勝戦は、昨年度優勝の仙台育英と、勝てば第2回大会から107年振りの優勝、慶應義塾戦。なんともドラマチックな展開に、見た人の誰しもが、くぎ付けだったのではないでしょうか。

 聞けば、この慶應高校、練習時間を2時間に限定、練習中の声出しも禁止。さらには長髪でもよいという、これまでの私たちが知る“高校野球”とは、大きくかけ離れている印象。

 気になって調べてみると、『慶應義塾高等学校野球部 部訓 心得』には、こんな言葉が。

「日本一を目標とし、古い体質の日本の高校野球に新風を吹き込む」

「常にハッスルすること。どんな小さな可能性でもそれを信じ全力でプレーすること(以下、省略)」

「どんなに相手チームが汚い野次を飛ばしたとしても、慶應は常に紳士たる言動をとり、味方チームを励ますような檄だけを善しとする。また相手チームの好プレーに対しては拍手を送る余裕を常に持ちたい」

 その他にも、感謝の気持ちの示し方や、ベンチにいる選手の在り方、心の持ちように至るまで、実に細かく示してあるのでした。

 これまでの習慣に何の疑いも持たず、それに倣うのはとても楽で簡単なことですが、日ごろから徹底し俯瞰して考える力を養っているのだなと、驚きました。もちろん、ハッスルすることも忘れずに!

 その心構えが、彼らの爽やかでいて精悍(せいかん)な顔つきに出ているのだと、感心しながら学びを授けてもらったこの夏です。(本)