芥川賞受賞から6年、村田沙耶香さんの創作ルール「毎日トランクを引いて外出」「最初にイメージするのは水槽」 2022年6月、海外で先に発表され小説やエッセイ6編を含む短編集『信仰』(文藝春秋刊)を上梓した小説家・村田沙耶香さん。『コンビニ人間』の芥川賞受賞から6年がたちましたが、創作にまつわる村田さんの思いはずっと変わりません。新型コロナの影響がいまだに続き、日々の執筆業にも変化がある中、どのように村田さんならではの物語をゼロから作り上げているのか、詳しく話を聞きました。 2022.08.07 12.00
乳がんを経験した漫画家・水谷緑さん、「人間のダメな部分も知りたい」と精神科の取材を続ける中で見えたこと 新人の精神科ナースがさまざまな患者さんと関わり合いながら、人間の“こころ”と向き合う様子が描かれ、精神科についての先入観をなくしてくれる『こころのナース夜野さん』。作者の水谷緑さんは、精神科の医師、ナース、専門家に取材をして、当事者研究や訪問看護にも同行、自ら取材交渉をすることも。また数年前、自分自身が乳がんだと診断され、医療を受ける当事者になった経験もある水谷さん。心身の痛みに苦しむ人や、彼らを治療するための医療者の心に寄り添う漫画を、どのようにして作りあげるのでしょうか。 2022.05.16 12.00
父親の死に直面し30歳でOLから漫画家に転向、水谷緑さんが描く「人のこころ」と「精神医療」 精神科やこころのケアを題材にした作品を数多く発表している、漫画家の水谷緑さん。現在は小学館の漫画誌『月刊!スピリッツ』で『こころのナース夜野さん』を連載しています。26歳で父親を亡くし、30歳で漫画家デビュー、32歳で初期乳がんの診断を受け手術──水谷さんは、医療者が病を患った人に対して行うこころのケアを、第三者である漫画家としてだけではなく、当事者や当事者の家族としても見つめてきました。そんな水谷さんに、精神科に興味をもったきっかけや人生のターニングポイントを伺いました。 2022.05.15 12.00
【私はチャイルド・フリー#2】「産まない選択をしている」と言いづらいのはなぜ? 出産の自由を考える 自分の意志で子どもを産まない選択をする、私と同じような女性たちがいる。私が「子どもは欲しくなくて」と言うと、安心したように「ずっと自分もそう思っていた」と打ち明けてくれる友人もいた。まだ出産経験のある友人・知人が少なかった20代前半と、子どもを産む同年代が増えた20代後半から30代前半までを経て、30代半ばのいま、「実は私もそうなんだ」と言う人が増えた。ただ、「子どもを産むべきだとか、産んだほうがいいよ、とか勧めてくる人には言えない」というところは変わっていない。私の「なぜ子どもは欲しくないと言いにくいのか」という問いは、今も胸のうちにある。 2022.03.31 12.00
【私はチャイルド・フリー#1】「子どもが欲しくない」は悪? 自分の意志で“持たない選択”をするということ 「私な、子どもが欲しいと思ったことがないねん」大学を卒業して、2年くらいたったころだったと思う。私は、新卒で就職した会社で仲よくなった同期数人とカフェにいた。全員、女性だった。恋愛と仕事に夢中だった私たちの話題は、ほとんど“恋バナ”である。妊娠や出産に関しては、まだリアルなものだと感じていなかった──。 2022.03.30 19.00
仕事もコロナ禍も「やりたいことを諦める理由にならない」、会社員兼作家が見出した“令和の新しい生き方” 会社員兼作家として二足のわらじをはき、毎年、何本もの評論を執筆する手条萌さん。年号が令和に変わった2019年の冬、転機を迎えた。「このころから、お笑い評論の同人誌を出すようになりました」最初に出した評論同人誌が好評を得たことで、手条さんはお笑い評論を主軸にするようになる。お笑い評論に関係したメディア出演や記事執筆のオファーも来るようになった。一方でコロナ禍は、手条さんの評論の読者層や作品の売り方にも影響を与えた──。 2022.01.27 12.00
“カレー女子”と呼ばれてから約10年、異色の評論作家・手条萌さんが会社員をしながら本を出し続けるのはなぜ? 平成元年生まれの評論作家・手条萌さんは、平日は会社員をしながら休日に評論を書いている。2016年、手条さんは初めての商業出版となる著書『カレーの愛し方、殺し方』を刊行。それをきっかけに、数々のテレビやラジオに出演した。手条さんは当時を振り返ってこう話す。「あのころは、メディアで“わかりやすいキャラ”を作らないとダメだと思い込んで、“カレー女子”として、『カレーのおすすめ店ランキング』とか、論じることがメインでない仕事の依頼も受けていました。でも、だんだんと気づいてきたんですよね。私が書きたいのは、思考のきっかけを誰かに与えることのできる評論だって」手条さんが抱いた思いは、10年近く経った今も変わっていない。 2022.01.26 17.00
学校でどうしても話せない──「場面緘黙症」経験者の苦しみと“いま伝えたいこと” 「小学校の6年間、この子は場面緘黙症でした」母がそう言ったとき、自分の子ども時代にひとつの名前がついた気がした。バメンカンモクショウ。6年間、私は学校で同年代の子たちと話すことができなかった。あの経験には名前があったのか。言語能力には問題がないのに、家にいるときは楽しく会話ができるのに、学校でだけは話せなかったときのしんどさ。“自分は周りとは違う変な子どもなんだ”と思い込んでいた。だが、違った。私は「場面緘黙症の子ども」だったのだ。子ども時代は、社会生活において難なく話せるようになったいまの私と地続きになっている。 2021.12.22 17.00
新型コロナを経験した漫画家&ライターが対談! こんなに違った「症状と療養生活」 2021年7月12日、4回目の緊急事態宣言が発令。前回の緊急事態宣言が発令中だった今年5月、新型コロナに発症したときの様子を綴ったとある4コマ漫画が、twitterで大反響を巻き起こしました。描いたのは37歳の人気漫画家・大沖さんです。このたび、感染者数が比較的落ち着いていた同年3月に、新型コロナを発症したフリーライター・若林理央(筆者)との“新型コロナ対談”が実現。発症前の生活、発症後の症状、隔離生活中に仕事はできたかなど、詳しくお話をさせていただきました。 2021.07.17 19.00
劇団四季、公演中止が続く中でファンが抱いた“憂うつ”と希望「きっと夜は明けるわ」 2020年4月、初の緊急事態宣言が発令されたとき、最初に思ったことは何だろうか。フリーライターである私の頭をよぎったのは、仕事面での不安だった。会社員ではないので、仕事がなければ収入もゼロになる。結果的にほぼすべてがオンライン取材に切り替わり、取材以外に他の案件もあったため、即座に収入が減ることはなかった。次に考えたのは、大好きな劇団四季のことである。「劇場が閉まるのではないか」。予想は的中した。 2021.05.09 16.00