エッセイ

いや～耐えました。安易に「ブラボー！」と言ってテレビに映ってやろうという姑息な手段を使いそうになる寸前、耐えました。無事に1回も言わず、ブームは過ぎたと言っていいでしょう。流行語ってやっぱり注目されたくて、あるいは「スタッフさん、この言葉が欲しいんでしょ」ってな感じで、つい言っちゃうんだよね。スターさんがあえて言うのと僕みたいなのが言うのは違うからね。こういうのって、取り合いよ。番組収録で食べ物が出てきたときの「わ～絶対おいしいやつじゃん！」と一緒で、そこにいるタレントの取り合い。誰が先に言うか。誰でも思い浮かぶやつを言わずに耐えて、違うコメントを言う。その苦行から逃げずに耐えたつぶやきです。

住宅街を歩いていると、いろんなものを目にします。瀟洒（しょうしゃ）な建物やツタまみれの家、洗濯物が大量に干してあるベランダ、庭木の剪定（せんてい）の感じを見たりしながら、どんな人が住んでいるんだろうと思いをめぐらせたりするものです。その中でも、ひときわ僕の心をザワつかせるものがあります。それはバスケットゴールのある家です。一瞬「お！」っとなります。コンビニで買い物している警察官に出くわしたような。そして僕は一瞬でも「お！」っと家主の自己顕示欲に反応してしまった自分を、激しく後悔します。