学校でどうしても話せない──「場面緘黙症」経験者の苦しみと“いま伝えたいこと”
「小学校の6年間、この子は場面緘黙症でした」母がそう言ったとき、自分の子ども時代にひとつの名前がついた気がした。バメンカンモクショウ。6年間、私は学校で同年代の子たちと話すことができなかった。あの経験には名前があったのか。言語能力には問題がないのに、家にいるときは楽しく会話ができるのに、学校でだけは話せなかったときのしんどさ。“自分は周りとは違う変な子どもなんだ”と思い込んでいた。だが、違った。私は「場面緘黙症の子ども」だったのだ。子ども時代は、社会生活において難なく話せるようになったいまの私と地続きになっている。