重松清の小説『トワイライト』は、小学生のときに校庭に埋めたタイムカプセルを掘り起こすため、同級生たちが集まることで物語が始まる。
26年ぶりに再会した39歳の元同級生たちは、リストラ、夫のDV、落ちぶれた予備校講師など、それぞれが人生の黄昏時(トワイライト)を迎えている。
そんな彼らの胸に、タイムカプセルの中にあった元担任の言葉が突き刺さる。
「あななたたちは今、幸せですか?」
そして、希望に満ちていた子どもの頃を回想することで、自信を失い負の感情に支配されている今の自分と向き合うようになる。
今回のコトバは、主人公の高橋克也のせりふから。
「ドラえもんってさ、未来のいろんな道具をのび太に貸してやるだろ。でも、その中に、勇気の出てくる道具はないんだよ。
二十二世紀だか二十三世紀だか知らないけど、どんなにすごい未来でも、勇気を持ってくるのはできないんだ。勇気はいまの自分からしか湧いてこないんだよ」
(dd)