地下水でも安心な秘密

 一方で、大自然の中にある工場内はまるで最新鋭の博物館のような清潔さ。天然水のプロセスを解説するプロジェクションマッピングや、臨場感あふれる出荷直前の包装ラインの工場風景が飛び込んでくるあたりは、アミューズメントパーク顔負けの舞台演出! 子どもはもちろん、大人までも惹き込まれる。

包装ラインの見学。独特のペットボトルの形状にも、ちゃんと理由があった

 とはいえ、冒頭の「天然水は実は地下水」だという“もやもや”が頭によぎる。塚本祐二工場長が、取材に答える。

「降雨や降雪で森に降りた水は、自然の生態系が育てた特有のふかふかの土にためられて、幾重もの地層にゆっくりゆっくりと浸透していきます。

 その後、南アルプスの特徴でもある“花崗岩”と呼ばれる岩盤をくぐりぬけることで、ナトリウムやカルシウムなどのミネラルがほどよく水に溶け込んでいきます。そうして地下水となってしみこんだ水が、サントリー天然水の源となるのです」

 私たちがイメージしていた、山の合間を縫うように流れている清水は、ただの雪解け水であって天然水とは別物。「南アルプスの天然水」とは、ほどよくミネラルを含み、花崗岩(かこうがん)を通過することでおいしくなる、なおかつ身体にいい水だったのだ。

 さらに、

「土の中にいる微生物も水をきれいにしてくれる役目があります。木が密集しすぎると、土に光が当たらなくなるため、切ってまばらにする間伐を行います。豊かな動植物、そしてふかふかの土、岩盤といった条件がそろわなければ、森はおいしい水を育んでくれません」(塚本工場長、以下同)

 見学では、土壌と岩盤がどのような役割を果たしているのかパネルなどを使って説明してくれるので、天然水と森への理解がさらに深まるはず。雨や雪の水を大事に育ててくれる南アルプスの森。思わず静寂のかなたに「ありがとう!」と叫びたくなる。

雨や雪の水が「天然水」になるまで

「地下水を汲み上げ、砂や葉っぱなどを除去して熱殺菌するだけで極力、人の手は加えません。それがサントリーのミネラルウォーターである“天然水”なのです」