自作曲がひとつのアクセントに

2. カラオケ最大人気はシングルカップリング曲

 KinKi Kidsは'00年に『LOVE LOVEあいしてる』の企画で作詞・作曲を手がけた『好きになってく 愛してく』をリリースし、同年から全作品をプロデュースしている。例えば、ファンキーなリズムに合わせてド派手な衣装で「KANZAI BOYA! KANZAI BOYA!」と何度もリピートした挙句、ラストに光一が故・ジャニー喜多川に成りすまして登場するというコミカルな『KANZAI BOYA』は堂本剛の作詞・作曲。このほかにも、剛が作詞、光一が作曲をした楽曲はファンに人気のものが多い

 特に、'01年のシングル『Hey! みんな元気かい?』のカップリング曲『愛のかたまり』(作詞:堂本剛、作曲:堂本光一、編曲:吉田建)はカラオケで大人気。なんと'20年の年間TOP100(JOYSOUND調べ)に入るほどで、もちろんKinKi Kidsの中でもダントツ1位だ。本作はサビで「X'masなんていらないくらい 日々が愛のかたまり」という女性目線の繊細な恋心を歌った、ライブでも定番のバラードだ。

 それが、近年ではジャニーズの後輩たちにも歌われ、さらに昨年、堂本光一がステイホームを呼びかけるために『家のかたまり』という替え歌をYouTubeにアップしたことも、人気に拍車をかけた。シングルの表題曲だけではなく、カップリング曲までもが自身の代表曲になるというのも、アーティストの音楽そのものが支持されている証拠と言えよう。

 '20年前半、多くの公演が中止となりつつも、その後“SHOW MUST GO ON”の精神で、さまざまな感染予防対策を講じながらミュージカル『SHOCK』シリーズを敢行している堂本光一。そして、'17年に突発性難聴を患って以来、後遺症からロングトーンが出しづらいなどの大きな障壁と闘いながらも、'18年以降は毎年のようにソロ・アルバムを積極的に発表する堂本剛。2人の音楽への情熱あってこそ、自作曲がひとつのアクセントとなっていると考えられる。

3. なんといってもライブがスゴい!

 そして、彼らの最大の魅力は、ライブだろう。もちろん、どのファンも自分の“推し”が開催するライブは最高に決まっている。いや、その通りなのだが、彼らの場合は歌や演奏といった音楽面、そして、ダンサーや舞台装置などの演出面もさることながら、2人のMC(トーク部分)も抜群に魅力的なのだ。

 正直に告白すると、筆者はDVDを入手したら、まずはMCだけを抽出してまとめて観るようにしている。彼らも“漫談と漫談のあいだに音楽をやっている”と冗談まじりに言うほどで、下手なコメディアンよりも、聞いていてずっと面白い。それでいて、大物感をまったく見せないのも気軽に聴ける理由のひとつだ。どのライブでも1時間前後のMCがある(!)ので、いずれ、さだまさしのようにトークだけ集めたCDでも成立するのではないだろうか。