Twitter上ではうれしい反応ばかり
おばあちゃんと一緒に写る柴犬は、YASUTOさんの実家に住む「福ちゃん」。今年で6歳になる雄犬だ。写りさえしていないが、撮影の裏側では、YASUTOさんの母親と兄の協力も必要不可欠だとか。
「福ちゃんの首につながっているリードを、兄貴が持っていてくれたりもするんですよ」
家族との連携プレーのうえに完成する写真たち。Twitterに載せるたび多くの反応があることについては、
「Twitterって、賛否両論ある場所だと思うんです。でも、僕のもとに冷たい言葉が届いたことは一度もありません。見てくれた人が自分のおばあちゃんと重ね合わせてくれたり、“自分もおじいちゃんやおばあちゃんを撮り始めました”ってコメントを見たりするのが、今はいちばんうれしいです」
YASUTOさんの原点である“撮れなかったことを後悔したくない”という気持ちが、多くの人たちに伝わっていく。同じ思いをする人が減るように……。その願いが見た人の心を動かし、数十万を超える「いいね」となって、かたちに現れている。
2021年6月現在のフォロワー数は約4.8万人。YASUTOさんは「この先どれだけフォロワーが増えても、今のスタイルを貫き続けたい」と、力強く語ってくれた。最後に、おばあちゃんはどんな反応をしてくれているのか聞くと、
「その日に撮影した写真のなかで特に気に入ったものをA4サイズでプリントして、おばあちゃんにプレゼントするようにしています。喜んで部屋に飾ってくれるんですよ。
実は、それとは別に、A3サイズのプリント写真もこっそり溜めています。おばあちゃんのお葬式のときに、溜めておいた写真を飾ってきれいに並べて送り届けてあげたい、という気持ちがあるからです。今後も個展を開くつもりはありませんが、おばあちゃんのお葬式が、僕の“最初で最後の個展”になると思っています」
やがて来るであろうその日のために、YASUTOさんは、大切なおばあちゃんのかけがえのない瞬間を撮り重ねていく。
(取材・文/高橋もも子)