TwitterやInstagramなどのSNSは現代人にとって、もはや生活の一部。気軽に投稿している人も多いと思うが、日常的に使う人が増えたことで、トラブルも増加しているという。しかも、普段から何気なく発言している内容が犯罪につながってしまうケースも……。そこで今回は、SNS上でやりがちな行動を、法律的に問題かどうか弁護士がジャッジ! あなたの知らない「それってアウトなの!?」という事例があるかも?
損害賠償や刑事罰案件に発展する場合も
お話を伺ったのは、SNSトラブルに詳しい弁護士の中澤佑一さん。まずは、昨今のSNSにおけるトラブルにはどのようなものが多いのか聞いた。
「SNS絡みのトラブル相談は、2015年ごろから急増しています。それより前は匿名掲示板のトラブルが多かったのですが、スマホの普及もあって舞台がSNSに移っています。相談が多いプラットフォームはTwitter、Facebook、Instagramの順。内容としては『名誉毀損』、『プライバシーの侵害』、『侮辱罪』の3つが多いです。SNS上のトラブルとはいえ、ひどい場合だと損害賠償を請求されたり、刑事罰として罰せられることもあるので注意が必要です」
【SNS上で起こりやすい3つのトラブル】
◎名誉毀損
……第三者から客観的に見て、相手の名誉を傷つけている何らかの事実を記載したと判断できる内容が名誉毀損に該当。トラブル相談で多い誹謗中傷や罵り合いも名誉毀損としてとらえられる場合がある。
◎プライバシーの侵害
……『個人情報』『住所』『昔の経歴』など、本人が公開されたくない情報を他人が発信するのが、プライバシーの侵害の大部分を占める。昔の経歴については“一般的に隠したい情報かどうか”が判断基準なので、本人がオープンにしていないのに「あの人、風俗で働いてたってさ」などと明かすのは当然アウト。
◎侮辱罪
……具体的な事実を記載しなくても、相手のことを侮辱するような内容の発言がこれにあたる。例えば、炎上している有名人に「死んでしまえ」とリプライを送るとアウト。似たケースで、「殺す」とリプライを送った場合は脅迫罪になる。
中澤弁護士が例に挙げた代表的な3つのトラブルについて、改めて見てみると「あの発言って危ないかな?」と思い当たる人も多いかもしれない。ここからは、さらに具体的なケースをもとに解説してもらう。
●この前、撮った集合写真を「みんないい表情だし……」と顔を隠さずSNSにアップ! 無断だとアウト?
「本人が嫌だと言っているプライベートな写真ですと、肖像権の侵害にあたる可能性があります。加えて、他人の顔写真を自分のアカウント画像やなりすましに使った場合は、問答無用で肖像権の侵害になります。一方、普段からいつも一緒に写真をアップしているなどしており、黙認的に同意しているなら侵害にはならないことが多いです」
もし自分以外の顔が写り込んでいる写真をアップする場合は承諾を得るか、「隠して」と言われた人をスタンプやモザイクで判別できないようにすればいいとのこと。
「撮影された状況がトラブルを招くケースもあります。プライバシーの侵害は、本人の私的領域かどうかも判断基準になるので、その人の家の中で撮った写真は危険。一方、屋外など公的な場所であれば、顔出しなしでしたら、大体は大丈夫です。ほかに、職場は私的な領域ではないものの、社外秘のものが写り込んでいると会社の守秘義務違反になって、懲戒処分を下される場合もあるので要注意です」
たとえ仲のよいの友達であったとしても、無断でアップするのは避けたほうがいいだろう。