日本は医療の仕組みがしっかりしている

若林:自分自身が陽性になって、新型コロナが他人事ではなくなりました。医療従事者の方々が奮闘されている姿を目の当たりにしたことも大きくて。大沖さんは、発症してから気づいたことはありますか?

大沖:日本は医療の仕組みがしっかりしているな、と実感しました。陽性だとわかってからの流れがスムーズですよね。

若林:2018年のはじめ、海外旅行中に別の病気で入院したんです。入院中ずっと苦しくて、それを英語で必死に伝えても看護師に舌打ちされるし、間違いがあっても謝ってもらえないし。帰国後、日本の病院に行ったら一気にストレスがなくなって、安心感が押し寄せてきました。だから今回、新型コロナで入院して、ますます日本の医療や医療従事者ってすごいなと思いました。

大沖:私が発症したとき、感染が拡大していたにも関わらずスムーズに療養できたのはそのおかげだと思うし、感謝しています。

若林:陽性患者が迅速に療養するためには、個々で予防をして、感染者を増やさないようにすることが大切ですよね。ワクチンもまだ希望者全員が接種できる段階ではないようですし、東京都は新規感染者がまたジワジワ増えて、4回目の緊急事態宣言が発令されました。

大沖:予防、大事ですよね。あと、自分と同じ場所にいた人が陽性になったら、すぐに情報共有ができるようになるといいなと思っています。一方で、どんなに予防していても、かかるときにはかかってしまうんですよね。

若林:大沖さんも私も、予防に力を入れていたのに感染してしまいました。周囲の理解も必要ですよね。大沖さんは、新型コロナの経験を出版するご予定はありますか?

大沖:今のところないのですが、機会があれば漫画にしようと思っています。一例として参考になればと。

若林:いろいろな人の役に立つと思います。大沖さんの経験をもっといろいろな人に知ってほしいという気持ちが、今回の対談で強まりました。

(取材・文/若林理央)


【PROFILE】
大沖(だいおき) ◎漫画家。主な作品に『はるみねーしょん』 『ひらめきはつめちゃん』『わくわくろっこモーション』『たのしいたのししま』 『小学生半沢直樹くん』などがある。ツイッター→@daioki

若林理央(わかばやし・りお) ◎読書好きのフリーライター。大阪府出身、東京都在住。書評やコラム、取材記事を執筆している。掲載媒体は『ダ・ヴィンチニュース』『好書好日』『70seeds』など。ツイッター→@momojaponaise