「わぁ、できた!」
「すごい!すごい!」
雅子妃(現・皇后陛下)と愛子内親王殿下がご一緒に、初めてコンビニエンスストアのおにぎりの海苔(のり)の巻き方に挑戦されたのは、2007年の夏、5歳のときだった。
愛子さまは、幼稚園のお友達がお弁当に持ってきたコンビニおにぎりを初めてご覧になって、フィルムをはがして海苔を巻くというラッピング方法にとてもご興味を持たれたことがきっかけだったという。
お好きな具の順番に並び替えられて──
'07年前後は、愛子さま専用に新しくご準備されたSuicaとPASMOを使って、公共の路線バスや港区のコミュニティバス「ちぃばす」、山手線に乗車するなど幼稚園以外の社会体験をなさることが多かった。
愛子さまが車内やホームにいる大勢の一般客に混ざるのは、初めてのこと。終始、周りをうかがうご様子だったという。
「翌年には学習院初等科にご入学されるということもあって、幼稚園の年長組になったことを機に社会体験が行われたのです」(元東宮職関係者)
皇室という特別な環境の中で、一般の人たちと交わることは限られている。両殿下(現・両陛下)は、愛子さまが小さいころから一般の人たちの中から学ぶ大切さを重んじられてきた。
「また両殿下は、愛子さまがご興味を示されたタイミングも重要だとお考えになられていました。親が誘導するのではなく、機会をお待ちになって、そのときがきたら、ご一緒に楽しみながら学ばれるというご教育方針でした」(元東宮職)
コンビニおにぎりの海苔巻きラッピングもそのひとつ。その日、雅子妃が東宮職員に買ってきてもらったおにぎりは、さまざまなコンビニのおにぎりで、コンビニによって巻き方に違いがあることを知って、驚かれていたという。
東宮御所のダイニングテーブルに並べられたおにぎりを手にとった愛子さまは、まずお好きな具の順番に分けられた。
次に、手にとられたおにぎりを印字された番号順に開けて、真剣なご表情で海苔巻きに取り組まれたという。
雅子妃も海苔の巻き方に言及
最初は海苔が途中で破れてしまったり、うまくフィルムを引っ張り出せなかったりして、苦戦されたというが、ようやくパリパリの海苔が見えたときには、
「何だか折り紙を折っているみたい」と大はしゃぎ。ゆっくり、ゆっくりと海苔を巻いて完成させると、達成感にご満悦だったそうだ。
「はい、できあがり」
愛子さまは、できあがったおにぎりを両手で美味しそうに召し上がられたという。
雅子妃もご結婚前に勤務されていた外務省時代に、夜遅くなったときなどコンビニおにぎりを召し上がられたこともあったというが、当時はもう少し海苔の巻き方が難しかったとほほえまれていたそうだ。
雅子さまにとっても、外務省時代を振り返られた懐かしいひとときだったのかもしれない。
「愛子さまは、たいていのお子さまと同じように鮭かツナマヨがお好きでいらっしゃいました。次はタラコで昆布や梅干しは後回しでしたが、どれも美味しそうに召し上がられていました」(同前・元東宮職)
タラコといえば、紀宮さま(現・黒田清子さん)が小さいころに学校のお友達がお弁当に入れてきたタラコを初めてご覧になり、お住まいに戻られてから、タラコを食べてみたいと希望されたことがあった。
宮内庁の大膳課が作る料理には、タラの卵巣のタラコがそのまま出てくることはなかったのだ。
召し上がられた紀宮さまは、その味に感動なさったといわれたが、愛子さまもこれまで召し上がったおにぎりとはひと味違って、コンビニおにぎりを新鮮にお感じになったかもしれない。
(取材・文/友納尚子)