「家庭訪問」から「表札訪問」へ

 校庭の片隅にある飼育小屋で、“生き物係”がニワトリにエサやりの当番─、こんな風景も今は昔。動物を飼育する学校自体が減りつつあるうえ、なかでも「ニワトリを飼う学校は少なくなっている」(Mさん)からだ。

'04年に流行した鳥インフルエンザが影響しているのでしょう。動物アレルギーの子どもや教職員への配慮もあると思います」(渋井さん)

 昭和の時代には、夏休みなどの長期休暇中は子どもたちが順番で世話をするのが定番だったけれど、いまや「当直の先生がエサやりや掃除を行っています」(Sさん)。先生の長時間労働が問題となる中、負担を減らすため飼育をやめる学校もさらに増えていくかもしれない。

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 新しい学年になるたび、定期的に先生が生徒の自宅を訪ねる「家庭訪問」。これを廃止する学校が増えている。昨年からはコロナ禍の影響で中止した学校も多いようだ。

共働き家庭が増え、日中に時間を割いて家へ招く負担は大きい。指定された時間に家にいられない保護者も増えたためでしょう」(渋井さん)

 代わりに行われているのが「表札訪問」。一体、どういうもの? Mさんによると、

教員が各生徒が暮らす町へ出向き家の表札を確認─、つまりどこに家があるのか把握できればOKというわけです。そこで保護者と話し込む必要はありません

 そのほか、先生が各生徒の住んでいる地域を見回る「地域訪問」を行う学校もあるという。

「子どものことで話がしたい場合は、保護者に学校へ来てもらい個別面談を行っています」(Mさん)

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