【Q&A】地銀再編で暮らしへの影響は?

 地元の地銀が統廃合したら、どんな影響があるのか、事前にチェックしておこう。

【Q】今までの通帳やカードは使えなくなる?

【A】すぐ使えなくなることはありません

 合併後、すぐに使えなくなるケースはほぼありません。顧客への影響が最小限ですむように配慮されるので、しばらくは現行のものが使えるでしょう。もし通帳やカードが使えなくなる場合でも、必ず移行期間が設けられ、銀行側からていねいなサポートがあります。

【Q】近くの店舗はなくなってしまうの?

【A】なくなる可能性はあります

 同じ営業エリアの銀行同士の場合、店舗を減らす可能性はあります。その場合は、少し足を伸ばして新たな店舗に通ったり、地銀が用意している「インターネットバンキング」を使って手続きしたりする必要があるかもしれません。もちろん店舗がなくなったのをきっかけに、ほかの銀行に乗り換える方もいます。

【Q】定期預金の金利が下がったり、ローンの金利が上がる可能性は?

【A】その心配はあまりありません

 もし地元の地銀同士で統廃合しても、メガバンクやネット銀行などライバル銀行は多く存在するため、サービスの質を落とすことはないと考えられます。むしろ統廃合を機に、お得な金利で定期預金が預けられるキャンペーンの実施や、新サービスの取り扱いが始まるなど、より便利になる可能性があります。

【Q】地銀が倒産したら預金はどうなる?

【A】1000万円までは保証されます

 各金融機関は「預金保険機構」という金融機関をサポートする組織に加入しているので、1000万円までの預金+その利息は手元に残ります。もし、分散預金していた銀行同士の合併により、預金が合算されて1000万円を超える場合は、超過分は保証されません。ただし地銀の統廃合が進めば、倒産するリスク自体が低くなるでしょう。

【Q】地銀の対応が悪くなった場合、どこかに相談できますか?

【A】「全国銀行協会」に相談できます

 各地銀では、顧客からの意見や苦情を受け付ける「お客さま相談室」などを設置し、業務改善に生かしています。また一般社団法人全国銀行協会が運営する「全国銀行協会相談室」にて、銀行に関するさまざまな相談や銀行に対する意見・苦情を受け付けているので、困ったことがあれば相談するといいでしょう。

《PROFILE》
大西正一郎 ◎フロンティア・マネジメント 代表取締役。1992年弁護士登録、弁護士として活躍後、産業再生機構入社。2007年にフロンティア・マネジメントを設立。2020年より東京電力HD社外取締役。著者多数。https://frontier-eyes.online

奥田真之 ◎愛知産業大学 経営学部 教授。博士(経済学)。1985年慶應義塾大学法学部卒業。名古屋大学大学院経済学研究科修了。中日新聞プラス『オッ君教授の金融教室』、中部経済新聞『中経論壇』を連載中。著書に『はじめての金融リテラシー』など。

(取材・文/金指 歩)