5位『~しか勝たん』529票

「これ言われると会話する気なくなる」(20代女性)、「自分の推しに対して言っているのでしょうが、ほかのメンバーが否定されているように感じて不快」(10代女性)。

 推しの対象に対して使われる「~しか勝たん」。例えば嵐の松本潤が好きなら「松潤しか勝たん」などと表現される。

好きなものしか見ないというのは世界が狭くなっている。SNSで世界が広がっているように見えて好きなものしか置かない・聞かない・見ないという姿勢を不快に感じる人も多いのでしょう」(渋井さん)

6位『フェミサイド』411票

「男とか女とか言ってる時代じゃない」(20代女性)、「女性を執拗(しつよう)に強調することが逆に女性を貶(おとし)めていると感じてしまう」(30代男性)。

 フェミサイドとは性別を理由に女性または少女を標的とした殺人のこと。8月に小田急線の電車内で若い女性が面識のない男に刺される事件が起き、これをフェミサイドとするかでSNS上では論争に。

韓国では20代男性の6割が“女性が憎い”と答えるなどフェミサイドが深刻な問題になっていますが、日本では女性を憎いと答える男性は2割にも満たない。女性がターゲットになったということだけでフェミサイドと叫ぶのはどうかという人たちがいるのも確かです」(渋井さん)

7位『サレ妻・サレ夫』214票

「キャッチーな言葉でくくるのやめてほしい」(40代女性)、「サレた側が悪いと言いやすくなる名前をつけないでください」(30代男性)、「するほうの問題であって、されたほうに焦点を当てないでいい」(50代女性)

 不倫された夫と妻を描いた漫画『サレタガワのブルー』。夏にはドラマ化もされすっかりサレ妻・サレ夫というワードが浸透していったが不快に思う人がいるということを念頭に入れておきたい。

8位『私、ゲイの友達いるから偏見ないよ』201票

「これって実はすごく差別的だということをわかっているの?」(40代性別無回答)、「自サバ女同様信頼できない」(30代女性)、「自分から発信する必要ない」(40代男性)

 LGBTQなどセクシュアルマイノリティーについて、認知は上がってきている一方で、知識不足の偏見も多い。ドラァグクイーンのエスムラルダさんは、

「個人的には、目くじらを立てるつもりはありませんが(笑)、不快に思う人たちは、わざわざそれを発信することが嫌だなと感じるのかも。あえて“偏見がない”と言う人より、何も言わずに受け止める人のほうが、“わかってるな”とは思います。もちろん、“キモっ”とか言われるより偏見ないよと気を使ってくれるほうがはるかにいいですけどね(笑)

 あえて言わないということも大事なのかも。

9位『ひよってるやついる?』64票

「中学生の弟がこればっかり言ってうざいから」(10代女性)、「アニメや漫画を見せていないのに学校で覚えてきてしまう」(40代女性)、「上司が言ってくるんですがどう返すのが正解かわからない」(30代男性)

 この夏映画化もされた『東京卍リベンジャーズ』の人気キャラ、佐野万次郎の名ゼリフが異例のランクイン。TikTok(ティックトック)などでもこのセリフが拡散され、小中高生の間で大ブームに。一方で漫画やアニメを見ていない人たちはこれを言われて困惑しているよう。ただこのブーム、若者の間ではまだまだ続きそう。

10位『ステイホーム』52票

「この言葉はもう聞きたくない」(40代女性)、「いまだに外食を嫌悪するママ友がいて嫌になる」(40代女性)

 今年前半だったらもっと上位だったであろう「ステイホーム」。票数が少ないのはコロナが収まってきた表れ?

 これまでの順位を見て、渋井哲也さんは、

キーワードとしてやはり《分断》を感じますね。分断されることに嫌悪感を持っている印象です。例えば、1位の育ち、2位のリモート、ともに言うほうと言われるほうが分断されていますよね。私とあなたは違うという。閉塞感がある世の中なので、こういった分断を覚えるワードはNGになっているのでしょう

 と分析。

 今年も残すところあと2か月。コロナの収束とともに飲食の機会なども復活しつつある。うっかりNGな言い回しをしないよう注意したい!