今、人生で大事に思うこと
松村さんが50代に入ってから取り組んでいることのひとつに、シャンソンがある。
「ソワレというシャンソン歌手がいるんですけど。彼が以前、経営していたライブハウスでライブをやらせてもらったときに僕のライブを見てくれて、“シャンソンを歌ってみませんか?”と声をかけてくれたんです。何曲か僕に合いそうな曲を紹介してくれたので歌ってみたら、とてもハマったんです。ずっと語るように歌う歌が多くて、“ああ~なんかこういうのいいな~”と思って。
僕はそれまでロックっぽい歌ばかり歌ってきたのですが、僕もファンの人も年齢を重ねてきて、そういう方たちに聴いてもらうにはどんな曲がいいのか考えていたところに、ちょうどいいタイミングでソワレがすすめてくれたというのが、シャンソンを歌うようになった大きなきっかけですね。でも、シャンソンは本当に奥が深いです。これからも機会が与えられるならば、自分の表現のひとつとしてチャレンジしていきたいと思っています」
12月26日にソワレが行う『~ソワレが唄う~幻の越路吹雪ロング・リサイタル 2021~』へのゲスト出演も決定している。
「今回は、特に気に入っている『ラ・ボエム』『サンフランシスコの6枚の枯葉』『そして今は』ほか全部で5曲を歌わせてもらいます。実は、僕の誕生日の11月7日は越路吹雪さんのご命日で、シャンソンにはあさからぬご縁を感じている次第です」
最後に、今、人生で大事に思うことを聞くと、松村さんのまじめな人柄をうかがわせる答えが返ってきた。
「僕が今こうやって役者をやっているのは、14歳のときに今の事務所の社長にスカウトされたことが始まりなんです。もう44年くらいお世話になっていて、親みたいなものなのですが。ちょっとカッコつけて言うと、その人の笑顔が見たくて続けさせてもらってきたんです。
僕に夢をかけてくれた社長が86歳のいまも事務所に行って働いてくれているので、もっと笑顔にするためにやっていきたい。
同時に、支えてもらった制作スタッフ、ファンのみなさま、共演者の方々への感謝の気持ちを持って、命ある限り精いっぱい頑張ることですかね。何のために頑張れるかっていったら、それだけだな。社長とお世話になった人が少しでも喜んでくれたらいいなって。それがいちばんのモチベーションですね。本当にうそ偽りなく(笑)」
(取材・文/井ノ口裕子)
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《PROFILE》
まつむら・ゆうき ◎1963年11月7日、東京都出身。1980年、ドラマ『生徒諸君』で俳優デビュー。'80年代に放送された『不良少女とよばれて』『スクール☆ウォーズ』など大映テレビドラマの常連俳優としてブレイク。30代からは舞台にも活躍の場を広げる。現在も多くの舞台、映画、ドラマに出演するほか、歌手としても活動。12月26日(日)東新宿Petit MORにて17時開演の『~ソワレが唄う~幻の越路吹雪ロング・リサイタル2021~』出演。【シン る・ひま】オリジナ・るミュージカ・る『明治座で逆風に帆を張・る!!』(12月28日~31日[うち30日、31日のみ]、明治座)出演。
ミュージカル『ソーホー・シンダーズ』
(東京公演:2021年11月25日~12月12日、紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA)
音楽:ジョージ・スタイルズ
歌詞:アンソニー・ドリュー
脚本:アンソニー・ドリュー&エリオット・デイヴィス
翻訳・訳詞:高橋亜子
演出:元吉庸泰
音楽監督:大嶋吾郎
振付:原田 薫/赤澤かおり
出演:林 翔太、松岡充/東山光明、綿引さやか、西川大貴、豊原江理佳、菜々香、青野紗穂/水 夏希/松村雄基
〈公式HP〉https://www.soho-cinders.jp/
〈公式Twitter〉@soho_cinders.jp