実の祖父がゲーマー! 3歳からマリオを始めた
──そもそもmaibaさんが世界一レベルまでマリオを極めることになった「原点」を教えていただきたいのですが、初めてマリオのRTAをプレイしたときは、おいくつだったんですか?
私はいま22歳なんですが、RTA自体は高校生くらいからですね。ただ、マリオを最初にプレイしたのは3歳くらいだったかな。祖父がめちゃめちゃゲームオタクだったんですよ。スーパーファミコンのゲームが家にいっぱいあって、よく一緒にやっていましたね。
──「おじいちゃんがゲーマー」っていうのが、個人的にはパワーワードです(笑)。そうか、3歳ってことは2003年だから「おじいちゃんがゲームオタク」もあり得るんですね。
ですね。当時、祖父は60代後半でしたから珍しいといえば、珍しいと思います。当時は『スーパーマリオブラザーズ3』をよくやっていました。当時、祖父はすごくうまいんですけど、私は死にまくってて(笑)。
もちろん、マリオ以外にもいろいろなゲームをしていましたね。特に『不思議のダンジョン 風来のシレン2 鬼襲来! シレン城!』っていうローグライクゲームをやったときのことを今でも覚えてます。
祖父が苦労して集めた「復活の草」というアイテムを、私が全部使っちゃって(笑)。泣きながら「おじいちゃんごめん……」って。ニコニコして許してくれたんですけど、罪悪感がすごくて(笑)。
──かわいすぎる……! 幼いころからゲーム漬けだったんですね。
はい。小学生になっても、基本的にずっとゲームをしてました。『スーパーマリオワールド』を始めたのも、このころです。学校が終わったらすぐ家に帰ってゲームをやるような子でした。友だちと一緒にプレイすることもあったんですが、基本的には1人でやることが多かったかなぁ。
──マリオ以外のゲームもやってたんですか?
はい、『ポケットモンスター』とか『ドラゴンクエストモンスターズ ジョーカー』もしていました。
例えばポケモンだったら、「モンスターを集める」と「特定のモンスターを強くする」っていう2つの楽しみがあると思っていて。私は完全に後者だったんですよ。モンスターを育てることで「相手のレベルが上がったときにも対処できるようにしよう」って考えていたんですよね。
だから小学生のころから、「ただ楽しむだけ」ではなく「クリアするための効率性」みたいな部分を意識していたと思います。
──それは、おじいちゃんの影響もあるんですか?
そうですね。祖父のゲームのやり方に影響された部分もあると思います。例えば、『風来のシレン』では通称“ワンチャン”っていうシチュエーションがあります。自分も敵も「あと一発、攻撃をくらったら死んでしまう」という状況で攻撃をすることです。命中率は100%ではないので、攻撃を外したらすなわち「死」。すごくリスクが高いんですよね。
私はしょっちゅうワンチャンの状況になって、しかも何も考えずバシバシ攻撃ばっかりして死んでました。でも、祖父はワンチャンの状況を作り出さないように、二手三手も前からアイテムを使って対処していたんです。だから危なっかしいシーンすら、ちょっとしかなかった。
この「最終的にクリアするために、今どうプレイするのが最適か」という考え方は、祖父のプレイを見て学びましたね。
──なるほど。おじいちゃんのプレイスタイルが、今のmaibaさんのプレイの原点になっているんですね。RTAの存在を知ったのはいつごろだったんですか?
まさに小学生のころですね。『ニコニコ生放送』(ライブストリーミングサービス)で『スーパーマリオブラザーズ3』のRTAをやっている方を見つけたんです。でいすいさんという方のプレイ動画でした。当時すでにTASのことも知っていたので、「これは、さすがにTASだよな……」って(笑)。プレイが正確すぎて、人間がやっているだなんて考えられなかったんですよね。
──ただ、それが人力のプレイだった。
そうなんですよね。これが本当に衝撃でした。単純に「すげぇなぁ。どうやったらこんな無駄のないすごいプレイができるんだ」っていう感じでしたね。
──もともと効率的なプレイが好きだったmaiba少年には、RTAの楽しみ方が刺さったんですね。
そうかもしれません。このとき小学生ながら「俺もいつかマリオのRTAをやってみたい」と思って。もちろん背景には祖父の存在がありました。祖父とマリオをしてなかったら、マリオにハマることはなかったです。というか、祖父がゲームオタクだったからこそ、ここまで“沼”にハマったんだと思いますね。