見るだけでキュンとするオリジナル商品の誕生秘話
──私が今一番気になっているのが、くまやうさぎのぬいぐるみをモチーフにした「あの頃のともだちシリーズ」なんです。店頭でこの巾着を見た瞬間に、かわいすぎてすぐに買ってしまいました。
辻さん:うれしい、ありがとうございます。
──私が小学生だった1980年代後半から1990年代前半くらいに流行した、ちょっと懐かしいぬいぐるみを彷彿とさせますが、これもオリジナル商品ですか?
辻さん:そうです。コロナ禍に入ってから自宅で過ごすことが多くなったので、あの頃の懐かしい気持ちを思い出して、ぬいぐるみをかわいがってくれるかなと思ったのが企画のきっかけでした。巾着は毎日持ち歩けるので、見るだけでキュンとしたり、ワクワクしたり。そういう部分を大事にしてオリジナル商品を作っています。触った時の柔らかさや、昔っぽい素材にも、企画担当者のこだわりが出ています。
──私はまんまとその思惑にハマったんですが、よくぞ作ってくれたという思いがあります。レトロブームがちょっと前から来ていますが、雑貨分野でも?
辻さん:来ていますね。2018年に始めた「喫茶ブルーエシリーズ」もレトロな喫茶店に出てくるクリームソーダをイメージしています。弊社のお客さまはクリームソーダがモチーフとして好きみたいで、大きく展開したらヒットしました。ちょうどそこにレトロブームがやってきたという感じです。
──「アートシリーズ」も面白いですね。ゴッホやモネの有名絵画が時計などのグッズになっていて。
辻さん:最初は面白みのあるものを作りたいと思ってスタートしたのですが、かなりヒットしています。まさかここまで売れるとは思っていませんでした(笑)。時計が一番人気で、新たに「モネの庭」、ゴッホの「星降る夜」、ルノアールの「可愛いイレーヌ」を作りました。キャンバスバッグやTシャツも売れています。
──普通にかわいいものでは満足できない女の子が反応しているのだろうなと思います。他のお店では見かけない、ブルーブルーエさんらしい商品ですね。
辻さん:はい。自信を持ってそう言える商品ですね。ファンシーなものだけでなく、ユニークなものを入れてみるというのは常に考えています。
──ファンシーといえば、新たに出た「くまのパンパンぱん屋さんシリーズ」も注目です。これは一体……?
辻さん:これはパンをモチーフにした商品を作りたかったんですが、他との違いを出すためにくまのクロックムッシュくんがパン屋さんの店長という設定にしました。素直に「くまのパン屋さん」だと印象に残らないと思い、意識に引っかかるように「パンパンぱん屋さん」に。あまり意味はなく(笑)、響きを優先しました。商品名は結構、SNSでバズったりするので。そういうのも考えています。
大ヒット「木彫りクマのぬいぐるみ」の付録雑誌が発売
──「木彫りクマのぬいぐるみ」も、SNSでバズったそうですが。
鵜野さん:これはすごかったです。もともとは2018年に展開した北海道フェアで作成したものだったんですが、大きく反応があって、すごく売れました。大中小のサイズをそれぞれ買って、親子のように並べて「ぬい撮り」する方もいらっしゃいました。
──35周年記念ブックで「木彫りクマのぬいぐるみポーチ」が特別付録になっていますよね。
鵜野さん:去年の夏くらいに、以前から弊社のファンでいらした宝島社さんの編集者の方から、「木彫りクマのぬいぐるみポーチを付録にしてブックを出されませんか?」っていうご提案があったんです。たまたま35周年もあるので、いい機会だとお受けしました。宝島社さんの中では雑貨屋さんの付録つきブックは初めてらしくて、ありがたいお話です。
──派手なかわいさはないものの、木彫りクマのポテンシャルはすごいですね。
辻さん:木彫りクマをお好きな方はたくさんいらっしゃるようです。それに加えて弊社ではくまのモチーフの商品がすごく売れるんです。最近は深海魚とか、シマエナガやハシビロコウなんかのレアアニマルのキャラクターものも人気です。
──細分化していくと、動物園のグッズより多いということになってしまうかも……?
辻さん:増えすぎないように気をつけています(笑)。店頭を占拠するとファンシーショップになってしまうので、そこの境界線は守りたいなと。コロナ禍では癒やされる動物モチーフをお客様がすごく求めているので、今の状況ではやっていく方向ですが、コロナが収束したら、世界的なトレンドであるアウトドア系やSDGs、ジェンダーレスなものなどの商品も広げていきたいと思います。弊社はどうしても女性ものが多いんですが、男性の方も買っていただけるように、サイズもわざと大きくしたりしています。