時は鎌倉時代の1235年5月27日、公家で歌人の藤原定家が100人の和歌を選んだ作品集を完成させました。ということで今日は、「百人一首の日」なんだそうです。コトバスケットでも以前、有名な和歌を紹介しました。

 《春すぎて 夏来にけらし 白妙の 衣干すてふ 天香山
 《来ぬ人を まつほの浦の 夕なぎに 焼くやもしほの 身もこがれつつ

 子どものころに学校行事などで百人一首に親しんだ方は多いと思いますが、私はほとんど機会がありませんでした。なので、花を眺めているうちに老化していくのを嘆く(違う?)女性の歌があったよね、くらいの知識レベルです……涙。

 さて、現代短歌を代表する歌人といえば俵万智さんです。小野小町の歌は思い出せなくても、俵さんの代表作《「この味がいいね」と君が言ったから七月六日はサラダ記念日》は今も暗誦できる自分。ありふれた日常を古語ではなく誰でもわかる言葉で描写する斬新なスタイルはデビュー当時(1987年)、社会現象といえるブームになりました。

 今年2月に『プロフェッショナル 仕事の流儀』(NHK総合)に出演した彼女は番組名にちなみ、《むっちゃ夢中 とことん得意 どこまでも 努力できれば プロフェッショナル》と詠みました。大好きなことを究める努力はいとわない──仕事人の真髄を三十一文字で表した内容もさることながら、「夢中」「得意」「努力」、それぞれの頭文字が「むっちゃ」「とことん」「どこまでも」と韻を踏んでいます。まさにプロの技ですね。(純)