昭和のころにやっていた節約ワザを振り返ると、親がやっていたなあと昔を思い出す、懐かしいものばかりだ。お風呂のお湯は太陽光で沸かすなど、今ではほぼ見かけなくなった節約ワザもあるが、親の見まねで今なお現役のものも結構ある。
「さすがに令和の時代ではやっても意味がないものがほとんどですが、なかには今でもちゃんと節約効果があるので、あえてやりたいものも。“昭和の節約ワザ”を見直すことで、より効果的でおトクに節約ができます」
そう教えてくれたのは、節約アドバイザーの丸山晴美さんだ。そこで、丸山さんに昭和の節約ワザをジャッジしてもらいながら、おトクなワザを教えてもらった。レッツらゴー!
(※NGな節約ワザは「ダメだこりゃ!」、OKな節約ワザは「なるへそ!」です。このように文中、昭和を知る人には懐かしいけど、そうじゃない人には“目がテン”になるフレーズが頻出します。許してちょんまげ)
【水道】トイレの水は1回で流さない
→ダメだこりゃ!最近のトイレは節水型なのでほぼ効果ナシ!
2000年ごろまでのトイレはタンク式が主流だった。タンク式は1回の洗浄水量が約13リットルと水道代がかかるため、何回か分をまとめて流すという節約ワザが流行った。でも、最近のトイレは節水型。大でおよそ4リットルと、当時の3分の1程度の水量なので水道代を気にするほどではない。ドンマイ! むしろ、ウイルス感染など、衛生面でのリスクもあるのでやらないほうがいい。ガビーン!
「もしも20~30年前の古いトイレを使い続けているなら、そもそも買い替えどき。故障してトイレも懐も大惨事になる前に買い替えたほうが断然おトクです」(丸山さん、以下同)
【水道】トイレのタンクにペットボトルを入れる
→ダメだこりゃ!汚水があふれる恐怖&思わぬ出費のWリスク!
タンク内の水をかさ増しして水道代を節約する作戦だが、こちらも節水型トイレが主流の今は時代遅れのワザ。
「当時私もやりましたが、沈めたその日にペットボトルがタンク内の排水弁とゴムフロートの間に挟まってしまいました。タンクに水がたまらず流れっぱなしになっていることに翌朝気づき、その時の絶望感は今も忘れません。それに、水量が減ることで紙や汚物詰まりの原因にも。いつか汚水の洪水が起こるかもしれません……」
しかも、修理になると節約どころか痛い出費になるだけ。もはやリスクしかないなんて、冗談はよしこちゃん!
【水道】水はメーターが上がらないように少~しずつ出す
→ダメだこりゃ!どう出そうと水道料金は変わらない
昭和のころの水道メーターは今よりも計量精度が悪く、少量ずつ出すと感知しないこともあった。朝から糸のようにごく細~い水を出して、1日かけてお風呂に水を貯めていた家庭もあったよう。
「現在のメーターは精度が上がっているのでたとえ少量ずつ出してもメーターは回ります」
水道代は下のような節水を意識するだけで、余裕のよっちゃんで節約できるのだ。
【水道】お風呂にペットボトルを数本入れる
→なるへそ!非常時の備えにも役立つ
水を入れたペットボトルを湯船に入れ、お湯をかさ増しして水道代を節約するマブいワザ。
「今はあまりやっているという声を聞きませんが、停電や断水などの非常時に水があるとトイレや洗い物などあらゆる場面で役立ちます。防災用も兼ねてと思えるなら、あえてやるのもいいですよね」
【電気】冷蔵庫の設定温度を季節ごとに変える
→ダメだこりゃ!設定温度は触らない。冷蔵庫に任せる!
冷蔵庫は外気温に合わせて夏は「強」、冬は「弱」に切り替えるのが、昭和のあたり前田のクラッカー。
「最近の冷蔵庫は省エネ設計です。エコモードや省エネ運転機能がついている場合は触らないのがベスト。自分で設定温度を変えるよりも効率的に節電してくれます」
トイレ同様、20年近く前の冷蔵庫を使っているなら買い替えどき。新しい冷蔵庫のほうがはるかに電気代がかからない。節約効果はアッと驚くタメゴロー!
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【電気】冷蔵庫内に透明カーテンをつける
→ダメだこりゃ!ドアポケットの食材が傷みやすくなるだけ
冷蔵庫の開閉時に冷気が逃げにくくなるから電気代の節約になると、かつては透明カーテンをつけていた家が多数。
「私も以前はやっていましたが、電気代の節約効果はいまいち……。むしろ、カーテンにさえぎられてドアポケットにまで冷気が回らず、食材が傷みやすくなるからやめたほうがいいといわれています」。アウチ!
【電気】コンセントはこまめに抜く
→ダメだこりゃ!テレビやレコーダーのコンセントは抜かない
「なんでもかんでも使わないときはコンセント(正確には電源プラグ)を抜く」が昭和節約の鉄板ワザだが、今は違う。
「プラグを抜くかは、ものによりけりですね。昔の家電製品は待機電力がかかっていたのですが、最新家電の待機電力は微々たるもの。特にテレビやレコーダーはデータ放送になり待機時に番組表のデータ受信などを取得しているため、プラグを抜いてしまうと支障をきたすおそれもありおすすめしません。また、待機電力を気にするなら10年以上前の旧式のガス給湯パネルや保温式の電気ポットが要注意」
使わないときは主電源を切る、プラグを抜くなどを。ガッテン承知の助!
【電気】暗くなるまで照明をつけない
→ダメだこりゃ!使っていない電気を消す&白熱電球はLEDランプに変える
電気代がもったいないからと、祖父母世代がよくやっていた節約ワザ。
「目が悪くなるし、薄暗いところで過ごしていると気分も落ち込みやすくなって精神的によくないのでおすすめしません。それよりも、使っていない電気をこまめに消す、蛍光灯や白熱電球を使っているようならLEDに替えることのほうが得策。白熱電球は安価ですが、寿命が短く電気代もかかります。LEDランプは白熱電球に比べて高いですが、寿命は6~40倍。電気代も4分の1から5分の1程度。白熱電球とLEDランプでは約9か月(1500時間)程度でコストが逆転するという試算も出ています」
よく使う照明を見直すだけでもOK牧場! 効果大だ。
【電気】冬はこたつで暖をとる
→なるへそ!設定温度を見直せば冬の電気代が下がる!
日本の冬の風物詩といえばこたつにみかん。炭や練炭を熱源としたこたつに代わって昭和は電気ごたつが普及し、当時は高価だったエアコンや床暖房より重宝された。
「今も、こたつは1時間当たり3~5円程度の電気代で効率よく暖まることができます。また、最近は人感センサーやヒーター自動オンオフ機能を搭載する省エネタイプのものが出回っています。ほかの暖房器具と使い分けたり、併用する場合は設定温度を控えめにしたりすると、冬の電気代を節約できます」。やってみそ!
【ガス】火加減はいつも中火にする
→なるへそ!炎が鍋底からはみ出さない中火が効率的!
モチのロン、昔も今も火加減ひとつでガス代は変わる。
「使用する鍋の底からはみ出さない程度の中火がいちばん経済的です」
はみ出すほどの強火はガスの無駄遣いでしかなく、はみ出した炎は鍋そのものを傷めたり、料理が焦げつきやすくなったり、火事の原因にも。火加減の調整はすぐ実践できる節約ポイントだ。
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【買い物】家電は現品限りや展示品を狙う
→ダメだこりゃ!コスパを最大限に狙うなら型落ち品を買うのがおすすめ!
家電はおトクな買い方があるという。
「壊れてから慌てて店に駆け込み、少しでも安く買おうと現品限りや展示品を選ぶ人もいますが、テレビなど実際に店頭で使用されていたものは製品寿命の観点からおすすめしません。家電は6月と12月にボーナス期に新製品が出てくるため、その1か月くらい前から現行モデルが型落ち品として値下がりし始めます。型落ち品といっても機能面が大きく劣るわけではないし、店側からすれば在庫を減らしたいので値下げ交渉もしやすくなります。私は断然、型落ち派です」
家電量販店の決算期や、型落ち品や展示品を多く扱うアウトレット店などをチェック。これで家電はダイジョウV!
【買い物】いつでもどこでも現金で払う
→ダメだこりゃ!還元率の高いキャッシュレス決済がトク!
クレジットカードが普及していなかったころ、代金を月割りにして払う月賦払いの利用も多かったが、節約派は使いすぎを防ぐために現金払いが主流。しかし、令和の世はキャッシュレス時代。クレジットカード、デビットカード、スマホ決済などなど、その種類はさまざま
「今は断然キャッシュレス決済がおトクです。現金で払ってもせいぜいお店のポイントしかつかないですが、キャッシュレス決済だとポイント還元率が大きい。例えば、銀行に100万円を1年預けておいた場合でも利息は10円もつきませんが、ポイント1%還元のキャッシュレス決済で1000円使えば、もうその利息分をゲットできます。事前に現金をチャージできるプリペイドカードやスマホ決済のほかに、使ったらすぐ口座から引き落とされるデビットカードなどを選べば使いすぎることもありません」
自分に合った決済方法を選べばパーペキ! おトクを逃さないように!
【その他】包装紙やリボン、ビン、缶はとっておく
→ダメだこりゃ!「いつか使う」のいつかはこない。フリマで売ってお金に換える!
今なお思い当たる人も多そうな息の長い節約ワザ。
「昔は包装紙やビン、缶などはリユースが当たり前でした。でも、『何かに使えるから』ととっておいてもたまる一方で、いつまでもためておくのはスペースの無駄にもつながります。そこで、一度整理をして余分なものを処分する前におすすめなのがフリマやオークションへの出品です」
今は包装紙でバッグを作る人がいたり、昭和レトロなビンや缶はコレクターがいたりして、インド人もビックリな高値がつくかもしれない」
捨てればゴミだが、売れればお金になるかも。やってみる価値アリ!
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《PROFILE》
丸山晴美 ◎節約アドバイザー・ファイナンシャルプランナー・消費生活アドバイザー。22歳のときにひとり暮らしで節約に目覚め、1年で200万円を貯めたことから節約アドバイザーの道へ。近著に『節約家計ノート2022』(東京新聞)がある。
(取材・文/佐藤晶子)