他社の情報をもとに“ダミー求人”を量産

 『満足度ナンバーワン』のカラクリを無視したとしても、さらなる壁が立ちはだかる。それは、前述した選定基準の残り2つ、「応募したいと思える求人があるか」「求人数の多さ」の部分だ。

「業界ごとに、人気の企業はある程度、集中する傾向があります。しかし、人気企業や大手企業の中には、“わが社の採用は、エージェントA社にしか頼まない”と設定するところもあります。基本的には、エージェントは契約を交わした企業にしか求職者の推薦や紹介はできません。けれど、それではA社以外のエージェントは、入社希望者を取りこぼしてしまいます。

 そこで、たとえその企業との契約を交わしていなくても、まずは勝手に他社の求人情報をもとに“ダミー求人”を作成することがあります

 驚きの手法だ。当然、お目当ての企業と契約締結にこぎつけるための交渉は営業担当が進めつつも、まずは並行して自社サイトにダミー求人を掲載してしまうという。そうすれば、よりよいサイトを探している求職者の目には、「このエージェントは人気の企業の求人がたくさんある!」と登録を促すことができるというのだ。

 しかし、実際に登録してきた求職者が「この企業に応募したい」と言ってきた場合にはどうするのだろうか?

それは簡単ですよ、“その求人はちょうど埋まってしまったので、ご希望に合う別の求人をご紹介しますね”と言うんです。不動産屋さんでも似たような手法を使うと聞いたことがありますね。万が一、その企業側からクレームがきた場合にはすぐに削除します。でも、クレームを入れられることはほぼありませんけどね」