【成功する芸能人の特徴1:テレビとの差別化】

 ここ最近、YouTubeでの成功がもっとも話題になった芸能人といえば、ピン芸人の江頭2:50ではないか。1月30日にチャンネルを開設したのち、現在の登録者数は約180万人と、すでに宮迫に3倍近くもの差をつけている。彼の場合は地上波では放送が厳しい、際どく身体を張った企画が「テレビとの差別化」となりウケているのだろう。そして、その内容は街頭インタビューに“江頭節”炸裂で乱入するものや、自ら過酷な罰ゲームを受けるものなど、“江頭にしかできない”という独自性も持ち合わせている。

 もちろん、背景には芸人としてのこれまでの実績や、「実はいい人」という世間の見方も影響しているようで、どの動画も高い評価ばかりが多く、コメント欄もあたたかい言葉であふれている。例えば、3月2日に投稿された『玉ねぎ早食い世界記録に挑む! Challenge the world record of fast eating onions!』は早くも110万回再生を突破し、高評価が5.6万件に対し、低評価はわずか568件。コメントは「喋り方が優しくて和む〜」「天ぷら一口目の絵がちゃんの笑顔、いいなぁ◎」など、実に平和なのだ。

【成功する芸能人の特徴2:ニッチな内容】

 自分の趣味や特技を生かすことで成功している芸能人も多い。かわいいルックスと裏腹(?)に、自身の大好きなゲームの実況で人気となっている女優の本田翼(登録者数155万人)や、本人がハマっているキャンプの動画投稿のみに特化したヒロシ(登録者数61.3万人)などがそうだ。

 さまざまなジャンルのクリエイターになりきって密着取材を受けるドキュメンタリー番組ふうのチャンネルを展開する、お笑いトリオ・ロバートの秋山竜次(登録者数53.3万人)も、自分の世界観を動画でうまく表現しながら、コアファンを増やしていると好評だ。

 テレビではクローズアップしにくい「ニッチな内容」であればあるほど、自身のファンだけでなくその“ニッチな内容のファン”の心をがっちりと掴むことができる。「本当に自分の好きなことをやっているのだ」という、“ヤラセ感”の少なさも、好印象に映るのだろう。

【成功する芸能人の特徴3:ニーズを把握している】

 モデルの藤田ニコルはメイク動画を中心に投稿しているが(登録者数61.8万人)、これは彼女の支持層である若者のニーズとマッチしている。今年1月に出演したラジオ番組では、チャンネルの開設にあたって初めてパソコンを使うようになり、動画編集を続けるうちに、文字も打てないレベルからだいぶ上達したことを明かし、「(自分は)ヘタでも成長していくスタイルのほうがいいかなと思って。最初からできすぎていると、ファンの人も応援しないじゃないですか」と語った。

 藤田のように、自身のファンが自分に何を求めているのか、どういう動画を見たいと思っているのか、という要望を把握することができているかどうかも大切な要素だろう。

 そうした意味では、宮迫のYouTubeは「まずは(相方の)蛍原徹と2人の姿が見たい」という、多くの視聴者の声を無視しつつある。宮迫と同じ“闇営業騒動”で話題となったお笑いコンビ・ロンドンブーツ1号2号の田村亮が、相方の田村淳とそろって会見をしたことで、そのニーズが色濃くなったにも関わらず、だ。

 加えて、騒動に対するけじめをつけきれなかったことに世間がモヤモヤとしており、好感度が回復しきっていないにも関わらずYouTubeを主戦場としてしまったこと、「いずれはテレビに」と、変わらず上から目線なところも批判を呼ぶ要因だろう。

 前述のEXIT・兼近も知名度や人気があるうちはいいが、YouTubeだけでやっていけると過信せず、まずは本業もさらに頑張ったほうがいいのではないだろうか。

(取材・文/松本果歩)