「以上が挙げられます。これらを踏まえたうえで、家の場所を教えてくれたり家に招待してくれたりするかどうかや、休日にTDLやUSJに誘って応じてくれるか、宿泊旅行をおねだりして連れて行ってくれるか、持っているのにクレジットカードや車を使わない理由、を尋ねるなどして、既婚者かどうかを見極めるのがいいでしょう」

 チェックポイントを見返すと、冨田さんも遠山さんも言っていた不可解な点がいくつも当てはまっていることがわかる。とはいえ、これらに当てはまるからと言ってすぐに「完全犯罪不倫だ」と断定するのは難しいだろう。さらに確証を得るための方法として、堺屋氏は以下の方法も伝授してくれた。

「シンプルかつストレートな方法として、抜き打ちでLINEのチェックをするのも効果的です。まず確かめるのは、自分のLINE名がどんなふうに登録されているかと、やりとりが削除されていないかどうかです。言わずもがな、LINE名をわざわざ偽装されていればクロ、メッセージのやり取りが削除されていてもクロの可能性が濃厚です。また、夫婦仲が悪くなければ、相手は奥さんと“今から帰るよ”みたいなやりとりをしている場合も少なくありません

 しかし、勝手にスマホを見ることはなかなか難しい。特に、不倫をしている男性なら警戒心が強いはずだ。だからといってストレートに「見せて」と言っても拒否されてしまいそうだが……。

「“仕事関係のやりとりもあるからスマホは見せたくない”と拒否したり“スマホチェックするような女とは思わなかった”と逆ギレされたりしたら、こう言ってみてください。“じゃあ、私とのやりとりの画面だけ見せて”と。これなら仕事関係の情報の件も、スマホチェックうんぬんの件も、クリアできることになります。それさえも見せてくれなければクロの可能性が高くなり、逆にすぐに見せてくれて、偽名の使用ややりとりの削除がなければ安心度が上がります」

少しでも違和感があれば早めに確認を

 こうした働きかけにより、相手が既婚者だと発覚した場合には?

「これは、本人が“今後どうしたいか”によって、大きく変わります。そもそも“相手が既婚者なら別れる”というスタンスであれば、相手の言い分(言い訳)なんて聞く必要もないので、LINEでも電話でもいいから即座に別れを突き付けて、LINEなどをブロックして連絡手段を断ち、それで終了です。

 しかし、対処法や問い詰め方を考えようとしているのであればその時点で、どこかでまだ相手と交際を継続したい気持ちがある、つまり、未練や執着がある可能性が高いのではないでしょうか。ですから、相手に対してどんな対応をとるか決める以前に“自分がどうしたいか”を考える必要があります。怒りにかられて何も考えずに(自分の方向性を決めずに)対面することだけは避けて。もっとも不毛だと思います

 落ち着いて考えたのち、実は既婚者だったという事実がやはり許せなかった場合、訴えれば慰謝料などはもらえるのだろうか?

「相手が既婚と知らず、一方的に騙されて付き合っていた場合、慰謝料を請求できる可能性は十分にあるでしょう」

 なぜなら、法律上、婚姻した者は“配偶者以外とは性的関係を持たない”という貞操義務を負うため、ほかの異性と性的な関係を伴う交際をすることは不法行為にあたるからだ。嘘をつかれ、貞操権を侵害された被害者の側は、相手の不法行為で受けた精神的な苦痛に対する慰謝料を請求できることがあるという。ただ、訴訟して慰謝料を請求する場合には、相手の配偶者にも事実を知られることは免れない。よって交際相手の配偶者から慰謝料を請求されるリスクも考えておかねばならず、現実的には厳しそうだ。

 思いもよらないがゆえに自分では気づくことが難しい“完全犯罪不倫”。もしもチェックリストに当てはまるもののなかで、少しでも違和感を覚えたら、相手が“クロ”でないかどうか早めにチェックしてみる必要がありそうだ。

(取材・文/松本果歩)