幼稚園のとき、将来の夢を友達の前で発表するとき、緊張してしまい周りの1番人気だった夢の「花屋さん」と、つい口にしてしまったという彼女。心の中では「舞台に立つ人になりたい」と叫んでいた。その口に出せなかった夢をつかみ、実現させたいま思うことは?

「周りからみたらネガティブに見えるかもしれないけど、私は私なりに前向きに生きてきたと思っています。高校生のとき、本当は演劇部に入りたかったけど大きい声を出すことができないから、まずは剣道部に入って声を出せるようにしようとか。はたから見たら理解できないかもしれないけど(笑)、自分の中では本当に少しずつだけど前に進んでいるんです。

 大学生で演劇研究会に入り、1年生で初めて出させていただいた長編の作品で、お客さんからいただいたアンケートに“川村さんの演技を見て、すごく泣けました”というのがあって。それが支えでここまでこれたかなって。

 あと自分はドMなんでしょうね(笑)。演劇やお笑いといった、ひたすら答えのないことに対して自分を追い込んでいくことに快感を感じますから。だから今まで続けられたのかなと思います」

 子どものころに見ていた夢を叶えた今、次に向かう先は─。

「ネタを書いたり、これまで同様アウトプットできる場所でのお仕事は変わらず続けていき、声のお仕事、ナレーションのような違うジャンルのことをやってみたいです。私、自分がやりたいと思ったことを形にするまで15年くらいかかりました。それって自分自身のことをよくわかっていなかったからだと思うんです。

 なので、思ったことを言葉にすることの大切さ、自分自身を知ることの大切さを子どもたちに伝えたい。自分が何が好きか、どんなことに楽しみを感じるのか。そのためには勉強も必要だし、その手助けができたらな、と思います。でも、いちばんは……結婚です!」

『わたしもかわいく生まれたかったな』(集英社)著=川村エミコ 父親に「あまりきれいなほうじゃないです」と言われた幼稚園のころ。小学生のときのあだ名は粘土ー。自身の過去を振り返った初めてのエッセイ(集英社刊 税込み1320円)※記事中の写真をクリックするとアマゾンの紹介ページにジャンプします

川村エミコ(かわむら・えみこ)……1979年12月17日生まれ。白鳥久美子とのお笑いコンビ『たんぽぽ』のボケ担当。趣味はこけし集め。

(取材・文/蒔田稔)

(週刊女性2020年10月27日号掲載)