夫との意識の差も問題
性を取り巻く心身の健康を意味する「セクシャルヘルス」の観点から避妊の選択肢の拡大を目指す「#なんでないの プロジェクト」の代表・福田和子さんも、40代の避妊の厳しさを訴える。
「望まない妊娠に対して“結婚するまでセックスしなければいい”との声もありますが、“結婚したら避妊はいらない”という意識が根底にあるのかなと思います。
加えて40代の夫婦間の出産への意識の違いも、20~30代より避妊を難しくしている印象があります。40代の場合、女性は心身的にも年齢的にも、もう子どもは産みたくないと思っているのに、夫が“できたら、できたときだよね”と言って避妊しないという相談は多いです」
避妊に努めたとしても、コンドームの避妊効果は約82%。日本で承認されているほかの避妊方法に比べ確実さに劣るという問題も。
前出・清水医師が指摘する。
「40代で出産経験があり、この先、妊娠を希望しないのであれば、ホルモン付加の子宮内避妊具(IUS)の使用をおすすめします。費用は5年間有効で4万~5万円(過多月経、月経困難症の症状がある場合は保険適用が可能で1万5000円ほど)。痛みはなく、1度入れるだけで約5年間は、ほぼ確実(避妊効果は約99・8%)な避妊ができるので便利だという感想が多いです」
毎日服用する手間はあるものの、低用量ピルも避妊効果が約99・7%と高い。
「月経痛の改善にも効果があり、継続的な服用であれば50歳まで使用できるので有益性は高い。ただし、血栓症のリスクがあり、年齢とともにリスクが高まるので、45歳以上での使用開始はおすすめしません」(清水医師)
コンドームには梅毒などの性感染症を防ぐ効果がある。低用量ピルやIUSと併用すれば、より安全性を高められることは間違いない。
そんななか、予期せぬ妊娠の「最後の砦(とりで)」と言われるのが緊急避妊薬だ。性行為後、72時間以内の服用で約8割の避妊効果が得られるとされている。今年10月、政府の「男女共同参画に関する専門調査会」が緊急避妊薬の薬局販売(処方箋不要)を検討すると表明し、にわかに注目を集めている。福田さんも「緊急避妊薬のアクセス改善を求めるオンライン署名キャンペーン」などの活動を通して、緊急避妊薬へのアクセス緩和を訴えてきたひとりだ。
「WHOは、緊急避妊薬を“副作用が非常に少なく医学的な管理下におく必要がない、欠かすことのできない薬”としています。しかし日本では、服用には医師の診察と処方箋が必須。本当に必要な人にとってハードルが高いと言わざるをえません」(福田さん)