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人生100年時代。今や日本人のおよそ半分は50歳以上です。「NEOFIFTY」では、これから50代を迎える人にとって、その先にある老後が「終活の始まり」ではなく「新しい人生がもう一度始まる」と思えるように、素敵な生き方をしている人たちの言葉を紹介していきます。

NEOFIFTY -新50代の生き方-

骨髄提供を語る木下ほうか「大したことではないのに、誰かが死ぬほど喜んでくれる」

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インタビューに答える木下ほうか 撮影/佐藤靖彦
目次
  • 死んだら自分の身体はどうでもいい
  • 傷つきやすいし、傷つけやすい
  • 人生100年時代。こんな恐怖はない

 個性的な役柄で、数多くのドラマや映画、バラエティー番組で幅広く活躍する人気俳優の木下ほうかさんに「50代からの生き方」を聞くロングインタビュー。先にお届けした【前編】では、「50歳でのブレイクについて」「人生を変えたバイクとの出会い」「結婚観」などについて、率直に話してくれた。【後編】では、「繊細すぎる性格」「死生観」についてなど、さらに“根掘り葉掘り”聞かせていただきます。

死んだら自分の身体はどうでもいい

 木下さんといえば、骨髄ドナーとして骨髄提供をしたことでも知られている。40歳のときに骨髄バンクにドナー登録をしたきっかけは、意外にも「好奇心でやり始めたこと」だという。

最初は“献血”です。“献血”ってどんなものなのかやってみたら、せんべいやドーナッツをもらえるし、献血ルームの居心地がすごくよくて、休みや撮影の合間に“献血”に行くようになりました。そこに『骨髄バンクのドナー登録にご協力をお願いします』というポスターが貼ってあったんです。

 でも、“献血”のようには簡単には手を出せないことだなと思って、深く考えないようにしていました。しばらくしてちゃんと調べたら、不安も解消されたのでドナー登録をしたんです」

 登録してから5年後にドナー適合通知が届いて、骨髄提供を決意した理由は「後ろめたさ」なのだとか。

「別に言うほどたいした思いではないですが。なぜ提供することにしたかというと、それまで生きてきて日々暮らしてきた中で、人にキツイことを言ってしまったり、子どものころからいろいろ悪いことをしてきたことに、どこか後ろめたさがあって。それが理由かもしれません。

 僕にとっては、手術の痛さも時間を取られることも大したことではないんです。それで誰かが死ぬほど喜んでくれる。患者さんとっては命に変わるんです。移植する側と移植される側のバランスが全然違うんですよね。この作業は面白いと思いました

 木下さんの考え方は驚くほど合理的だ。

僕は臓器提供にも興味があります。ただ、すでに検体登録もしているので、臓器提供ができないんですよ。両方はできないので、死んだときの身体の状態で使い道を決めてもらえればいいんじゃないかと思ってます。宗教観もゼロですし、死んだら自分の身体はどうでもいい。

 もし僕に子どもがいて、その最愛のわが子が亡くなっても、子どもの一部だけでも誰かに使われることに賛成です。もちろん価値観はさまざまですから反対の方もいらっしゃると思いますが、僕は細胞の一部がどこかで生き続けるほうが、うれしいんじゃないかと想像します」

 今、生き方でいちばん大切にしていることを尋ねると。

「なんでしょうね……。実はなんでもいい。信じさせてくれるなら宗教に入信もしますし、柔軟でいたいです。僕は、ものすごく矛盾している矛盾人間なんです。こだわりがあるわりにどうでもいいし、神経質なわりに無神経だし。ただ、理屈が通らないと感じたことをおかしいと思うだけです。納得できるなら、小さなこだわりも曲げられる。よくインタビューで好きな女性のタイプを聞かれますけど、好きになったらその人色に染まりますから。柔軟に魂売ります(笑)」

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