大切なのは健康で生き続けること

 松村さんは、高田文夫さんのものまね「バウバウ」や『進め!電波少年』のムチャぶり企画「突撃アポなしロケ」の出演で、一躍子供たちの人気者に。当時、『進め!電波少年』を見ていない子供は、翌日、学校で話の輪に入れないほどだった。順風満帆のように見えた松村さんだったが、2009年3月『東京マラソン2009』に出場中、急性心筋梗塞で倒れ、一時、心肺停止となり世間に衝撃を与えた。41歳のときだ。

──倒れたときのことは覚えていますか?

「それが覚えてないんです。目が覚めたときは、ベッドの上だったので。自分としは完走したつもりでいました。でも、日刊スポーツの一面を飾ったし、親は『うちの息子がNHKの7時のニュースに出るとはなあ!』って喜んでくれました(笑)」

──(笑)。当時はご両親も心配されたと思いますが、心肺停止から復活して死生観は変わりましたか?

「劇的に変わったわけではないですけど、生きるって続けるってことなんだなと思うんです。仕事を続けることは大事っていうけど、それ以前にもっと大事なことは生き続けることなんですよね。生きていればまた次もありますから

──健康で生き続けることが大切なんですね。

「そう、健康で生きる、なおかつ仕事も一生懸命やる、これを続けることが大事なことで、それで生涯が終わればいちばん幸せだと僕は思います。……と言いながら、実はこれがいちばん難しいんですけどねぇ」

 松村さんと言えば、2017年の『ライザップ』のCMも記憶に新しい。ぽっちゃりからほっそり体形にイメチェンして、日本中をびっくりさせた。

──『ライザップ』では、8か月で30キロの減量に成功されたんですよね。

「うちの実家は農家なので、炭水化物を控えてたら、『お前は農家の敵だ』って言われました(笑)」

「生きていればまた次もありますから」 撮影/吉岡竜紀

──(笑)。ダイエットしたことで何か変わりましたか?

「電車に乗っても僕だって気づかれなくなりました。透明人間の気持ちがやっとわかりましたね(笑)。前までは街を歩いていても、“あの太ってる人は誰だ? あ、松村か”ってなっていたのが、痩せてからは、僕のことを誰も見てくれなくなっちゃいましたから。気づかれなくて、ちょっとさみしくもありましたね。テレビの露出が減ったからかなって思ったりもしたんですけど、やっぱり30キロの減量は大きかったです」

──今も健康維持のために、何かされてますか?

「僕も健康についていろいろ考えています。特に食べ物には気をつかっていて、鍋を作って野菜をたくさん取るようにしてます。コロナ禍ということもあるので、毎日自炊ですよ。僕、お酒もたばこもやらないですし。

 鶴太郎さんからも『野菜を食べろ、ヨガもやろう』ってススメられるんだけど……。今、鶴太郎さんは浦辺粂子さんの「そーですよーだ」が、「そーですヨーガ」になってますからね(笑)。

 あとは洗面所に鉄アレイを置いて、風呂上がりにトレーニングしたりしてます。やっぱり痩せてるほうがいいですからね。食べ物だけじゃなくて身体を動かすことも大事だと思うので、近所を歩いてます。とろい歩きですけどね。おばあちゃんに抜かれるときもあるくらいだから(笑)。3時間とか4時間とか歩きだしたら歩き続けちゃうんです。休みだしても止まらないけど、歩きだしても止まらない(笑)