【5】これこそ本当のお化け屋敷!

 最後に紹介するのは、なんとも摩訶不思議な正方形の間取り。建物の中央をエレベーターが突き抜けるように走り、そのまわりを3つの部屋が取り囲むという入れ子構造だ。いちばん外側の部屋にしか窓がないのも気になる。こんな物件、ほんとに存在するの?

【間取り5】

「エレベーターを降りたらすぐに自室という構造は、超高級マンションの最上階などにみられます。それにしてはすべての部屋が廊下みたいに細いし、とても高級物件とは思えない(笑)。この物件は間取ラーのあいだで一時話題になったのですが、よく調べてみると架空の間取りだったんです

 いったい誰がなんのために、実際に存在しない間取りを作るのか。

これはいわゆる“釣り物件”。お化け屋敷を運営している企業が架空の不動産サイトを開設し、唯一の空き物件をおもしろ間取りに設定したんです。興味を持った人がその間取りをクリックすると、本業のお化け屋敷の予約ページに誘導されるという仕組みです」

 不動産会社が、集客のために条件のいい部屋を「空室」としてサイトに掲載するのはもはや常識。部屋に釣られて連絡をよこした客に「すみません、さっき埋まってしまったんですー!」と謝りつつ、別の部屋を速やかに紹介して契約へと持ち込む。この“釣り物件”のシステムを、ユーモアを交えながら企業PRに活用した例だ。

「実は架空間取りは趣味としても楽しまれています。子どものころ、想像上の町や国の地図を書いて楽しんだ記憶はありませんか? 間取り図もそれと同じ。到底実現できそうにない妄想部屋でも、図の中なら可能なんです(笑)。最近は無料の間取り図作成ツールもありますので、誰でも簡単に間取り図を作ることができます。架空間取りだけを集めたサイトをのぞいて、“自分だったらこの部屋をこう使う”なんて思い描くだけでも楽しいですよ」