「受け入れるの、嫌でしたね」

――パニック症と言われて、すぐに受け入れられましたか?

青木:私は当時、先生から病名を聞いていなかったような気がします。今回、コラムを書く機会があったので、初めて先生に「私の病気って何ですか?」と聞いたら「一般的にはパニック症というと思いますよ」とおっしゃって。たぶん、それまでは私の負担にならないように、病名をはっきりとは言わなかったんじゃないかと思います。

 パニック症と言われて、受け入れるの、嫌でしたね。病名がわかる前も、薬を飲んでいることはマネージャーさん以外には隠したほうがいいと思いましたし、共演者に伝えたことはないです。言われた相手も困るんじゃないかと。

 それに、お笑いの世界にいるので「青木って狂ってるな」とか「頭おかしいんじゃないの」って言葉は日常的に言われていて。相手はもちろん私を傷つけるつもりはないんですよ。でも、実はけっこう傷ついているので、また何か言われるんじゃないかなと。自分が余裕さえ持てば全然、平気なんだけれども。

――結局、パニック症になってしまった原因はわかっているんですか?

青木:「これが原因です」みたいなことは言われていない。ストレスじゃないのかな。ただ、あんなにずっと怒っていなければ、病気にならなかったかもしれないです。私は怒りがエネルギーだった人間なので、当時はいつもイライラしていたから。

――薬を飲んで楽になりましたか?

青木:緊張感はやわらぐようになりました。倒れそうになったときは、薬を飲めばだいぶ楽になったから。でも代わりに、すごく薬に依存するようになってしまった。薬がないと怖くて。薬を持ってくるのを忘れると、ワーって(心臓が)バクバクしたり。

 やっと手放せたのは、1年くらい前です。ある日、飲むのを忘れて、次の日も飲むのを忘れて、次の日も……みたいなことの積み重ねで1年経っているって感じです。それまで、8〜9年間くらいは飲んでいたと思います。

――パニック症を隠すタレントさんも多いですが、公表したのはなぜですか?

青木:エッセイで書こうと思ったのがきっかけです。もう薬を飲んでいなくて、病気が過去のものになったので、すごく冷静に、客観的に書けるようになったからだと思います。決して「パニック症の人を励まそう」とかいう気はなくて。私は私のことしかわからないので、ただ自分のことを書いたっていうだけです。自分にとっては、隠すことではないかなと思えました。

話の盛り上がりに笑顔を見せるたかまつなな