薬との付き合い方でいちばん大切なこと
「すべての薬が悪いわけではなく、本当に必要な薬は上手に活用すべきです」と宇多川さんは強調する。
「生活習慣病に限っては、薬は必要ありません。まずは生活を見直し、自分で治す心構えを持ちましょう。ただし、すでに服用している薬を勝手にやめることは危険。必ず主治医に相談してください」
できるだけ薬に頼らない生活を送るには、遠慮がちでNOと言えない“日本人的”な考え方を改めることも大切だ。
「医師にわずらわしく思われたくないという気持ちを捨て、うるさい患者になるべきです。気兼ねせずに、薬を飲む理由を聞き、やめたり減らしたりしたければその意思を伝えてください。コロナ禍では、自分の身体は自分で守るということがこれまでにも増して重要だと感じています」
新型コロナウイルスのワクチンをめぐる騒動についても、同じことがいえそうだ。
「遺伝子組み換えで作られたmRNAワクチンを、人類は初めて接種します。安全性については医師や専門家でも意見が分かれますが、未知のものなので誰にも結論は出せません。だからこそ、自分で考えて決めることが大切なのです」
最近では接種の遅ればかりがクローズアップされ、安全性など本当に重要な議論が尽くされていない印象だ。
「私は60代ですが、現時点でワクチン接種の意思はありません。今後、子どもをつくる可能性のある若い世代は、より注意が必要とも考えています。ただし、基礎疾患がある方はコロナで重篤化する可能性がありますので、打つメリットのほうが大きいケースもあります。薬もワクチンも、年齢や既往歴を鑑みて、リスクとメリットを比較する点は同じです。そのうえで、最終的な結論は自分で出しましょう」
コロナ禍の今こそ、薬との付き合い方を真剣に考えるときだ。
薬剤師。医者や薬への依存から脱却し、病気にならない、病気を治す啓蒙活動を行っている。新著に『薬剤師が教える 子どもから大人まで「飲み続けると危険な薬」』(PHP研究所刊)
(取材・文/植木淳子)
(週刊女性2021年6月8日号掲載)