健康への影響とトラブルの可能性は
どんな手術にもリスクは伴うもの。ましてや成長過程にある10代の場合、整形手術が心身の健康に影響するおそれはないのだろうか?
「二重の処置に関しては、糸で留める埋没法ならば7~8歳以上であれば問題ありません。ヒアルロン酸を注射して鼻を高くする隆鼻術も同じです。埋没法の糸は取り除けますし、ヒアルロン酸はいずれ体内へ吸収されます。元に戻せる施術であれば、お子さんでも身体の負担になることはありません」
「日本美容外科学会」の広報委員長・山下理恵医師も、「個人的見解」と前置きしながらも同様に言う。
「顔の骨は15~16歳で成長が止まります。ですので、10代であるという理由によるデメリットはありません」
ただ、1度の整形が呼び水となり、エスカレートしていく人も中にはいる。
「整形依存に陥るのはごく一部の人ではないでしょうか? 年齢は関係ないと思います。ですが、(まだ成長過程にあり)精神が未熟なお子さんに関しては、整形に依存しないよう指導するのも美容外科医の仕事です」(山下医師)
注意すべき点はほかにもある。すべての美容外科医が10代と真剣に向き合い、手術をしているわけではないからだ。低価格と宣伝しながら、実際には高額な請求をされるトラブルが後を絶たない。
「テレビの宣伝を見て子どもだけで受診したところ、痛くない麻酔、よい手術糸などをすすめられ、二重手術の費用が52万円との見積もりを出されたケースがありました。しかし一般的には、8万~15万円が相場だと思います」(山下医師)
SNSの口コミもクリニック選びに関しては玉石混交、磯野医師は「あてにならない」と言い切る。美容外科の悪評をライバル院のスタッフが書き込む話をよく耳にするという。
「カウンセラーというスタッフがいて、マシンガントークでたたみかけ、考えるスキを与えないようなクリニックも避けたほうがいいでしょう」(磯野医師)