容姿がすべて? 母の複雑な思い

 いまや有名タレントが整形を公表し、ユーチューブでも顔出しの“整形ユーチューバー”が乱立する時代。美容整形がタブーとされていたころに比べれば隔世の感がある。

 そうした変遷を知る磯野医師は整形を希望する10代について、こう分析する。

「インスタグラムには整形情報を交換し合う“整形垢”と呼ばれるアカウントが無数に存在しています。なかにはインフルエンサーもいて、物心がついたころからSNSに親しんできた10代は、そうした“成功例”を目にする機会が否応なしに増えていく。

 学校では“みんな違って、みんないい”と言うけれど、そのみんなの中でも一定レベルの容姿が求められるという現実がある。子どもたちの間には負け組になってしまう切迫感があり、それが受診増に拍車をかけているのかもしれません」

 一方で、見た目で人を判断し評価する「ルッキズム」(外見至上主義)が問題視されることも増えてきた。前出の入江さんは長女の整形に対し、母親として、女性として、複雑な思いを抱いていると明かす。

「コンプレックスを解消して明るい青春を送ってほしいと思って、整形を許可しましたが、これでよかったのだろうかと実はモヤモヤしています。美しさにはいろいろな種類があるし、容姿で女性の価値が決まると思ってほしくないんです。いつか機会を見つけて、長女とそんな話ができればいいなと思っています」

(取材・文/千羽ひとみ)

(週刊女性2021年8月17・24日号掲載)