「ガメラ」のモデルにもなったカメ

 ワニガメに挑むことになったのは、来園者に危害がおよぶことを心配した公園側が地元の専門家に相談したのがきっかけ。10月3日にはヒモにくくりつけた鶏肉で釣る作戦を試みたがうまくいかず、最終的に捕獲を依頼されたのが白輪園長だった。

 白輪園長は同6日と8日、エサを入れた罠(わな)を水中に仕掛けたり、スタッフが池底を長い棒などでつついて探したが捕獲には至っていなかった。

ワニガメの捜索を指揮する白輪園長(10月8日)
罠にはかからなかった(10月8日)
池の底を長い棒でさぐる(10月8日)

「毎日のようにワニガメを捕まえる夢を見る。夢では簡単に捕まえられるんだけど現実はそううまくいかないね」(白輪園長)

 環境省のデータによると、ワニガメは生態系などに被害をおよぼすおそれのある「生態系被害防止外来種」に指定されている。

 警戒心が強く最大100キロ程度まで成長することがあり、その獰猛(どうもう)さなどから特撮映画「ガメラ」のモデルにもなったほど。昨年6月以降、動物愛護法の改正によって愛玩(あいがん)目的のペットとしては新たに飼えなくなった。

 白輪園長は洞峰公園のワニガメをまだ肉眼で確認できていない。

 監視カメラの映像をチェックする限り、

「当初は甲羅の長さ約60センチの個体という情報だったが、そこまで成長していなさそうで40センチぐらい。尖(とが)ったくちばしも摩耗しておらず、推定15〜20歳の若い個体とみられ、あと60〜80年は生き延びる可能性がある

 と指摘。捕獲する気持ちは折れていないといい、早期捕獲の必要性を訴える。

目撃者が撮影したワニガメ(画像中央)について、白輪園長は若い個体だと指摘する

この池にワニガメの天敵はおらず生態系のトップに君臨する。在来種ではないため池の生態系は破壊されてしまう。ペットとして飼っていたカメを捨ててしまったのかもしれないが、カメのためにも無傷で捕まえて、ちゃんと飼ってくれるところに引き渡してあげたい」(白輪園長)

 闘いは続く──。

◎取材・文/渡辺高嗣(フリージャーナリスト)

〈PROFILE〉法曹界の専門紙『法律新聞』記者を経て、夕刊紙『内外タイムス』報道部で事件、政治、行政、流行などを取材。2010年2月より『週刊女性』で社会分野担当記者として取材・執筆する。ウェブ版の『週刊女性PRIME』『fumufumu news』でも記事を担当