外食はアリバイ作り!? 不倫の代償は高くつく

 一方「飯マズ問題」をいいことに不倫をしていた夫を、逆に手駒にとった強者の妻もいる。IT企業でSEのディレクションを担う優美香さん(仮名・39歳)は、元上司だった夫(42歳)と結婚10年目。優美香さんは「料理が苦手」を夫に容認してもらって、結婚した。

 夫と共通の趣味は筋トレ。休日は夫婦一緒にスポーツクラブで汗をかき、夕食はグルメが集う評判の店で食事を楽しんだ。

「常に外食でした。子どももいない共稼ぎの夫婦なので、私が料理をしないことに対しても文句ひとつ言わない、いい夫でした。義母は料理上手で、たまに夫の好物を作っては送ってくれて。とても美味しくて、助かりました」

 料理上手な義母の“差し入れ”にも助けられ、夫ともいい関係を続けていた優美香さんだが──。

「夫が、転職した会社で27歳の女性社員と不倫していたんです。ときどき帰宅が最終電車になるし、様子が変だったので、スマホをチェックしたら不倫相手とホテルでツーショット写真が……」

 外食が当たり前の生活で、帰宅が遅くなっても不倫しているとはバレない、と夫は思ったのかもしれない。激怒した優美香さんは、夫が得意先と会食する予定の日、夕方ごろに会社を出ると聞いていた。

「不倫相手と会うのかもしれない」

 と思った優美香さんは、会社を早退。夫の会社の最寄り駅で張り込み、夫の愛人を見つけると「泥棒猫!」とビンタした。

「驚いた彼女は、私が妻だとわかると、駅と反対側の方向に逃げていきました。そのとき駅には大勢の人がいましたが、私は不倫相手に一矢報いた達成感と高揚感の中、見て見ぬ振りをする人たちの間をぬい堂々と改札を通って、ホームに向かいました(笑)」

 事の成り行きを知った夫は、優美香さんにひたすら謝ったという。

「夫の不倫相手はすぐに退職したそうです。でもまた同じようなことが起こるかもしれないので、子どもを作ってパパになってもらうことを夫に承諾させました」

 1年半の不妊治療で妊娠した優美香さん。出産しても仕事を続けたいため、ハウスキーパーを雇うことも夫に承知させた。

「夫はハウスキーパーを雇う料金を捻出するため、死ぬほど働くと約束してくれました。このことが不倫するヒマを与えない結果にもなりました」

 今年に入ってから、夫は役員に昇格した。結果として料理を作らない妻は、夫を出世させたのだ。

料理学校で覚えたのは料理ではなく不倫の味

 また料理しない妻が、夫に一家の料理担当をさせたというケースもある。

 看護師の聖子さん(仮名・45歳)は、10年前に2年間同棲していたメーカー勤務の男性(47歳)と結婚。同棲中から、休日になると男性の実家で料理好きな母親の手料理を食べさせてもらった。味覚オンチの聖子さんには「マメなお母さんが作る料理」で、特別な意味があるとは考えもしていなかった。しかし──。

結婚してから、彼の母親の手料理の意図を聞いて驚きました。“聖子さんに、私だって美味しい料理を作ってやると発奮させたかった”というんです。でも、仕事が終わって帰宅するとくたくた。途中で買った弁当屋の惣菜で私は満足できましたが、夫は不満だったようです」(聖子さん、以下同)

 母親のような料理を作ってもらいたいと夫は再三、聖子さんに頼んできた。だが仕事で疲れて帰宅した聖子さんには、そんな気力すらない。すると夫は「せめてお茶ぐらい」と責め立てる。

 夫の思いやりのなさにキレてしまった聖子さんは「料理ぐらい自分で作って! お茶くらい自分で入れて! 自立して!」と、ネットで見つけた料理教室に夫を入会させ、自立を促したという。

妻が料理に関心がないなら、夫が頑張ればいい!?お互いの譲歩も大切(写真はイメージ)

ところが夫は料理教室で知り合った10歳年下の女性と不倫したんです。相手は港区の資産家のひとり娘で、お嬢さま学校を卒業したOL。しかも夫は私と離婚して、その女性と再婚しようとしていたこともわかったんです」

 ふたりに“鉄拳制裁”まで考えていた聖子さん。しかし、相談した夫婦問題の専門家の言葉で冷静になれた。

「“感情的になったら負け”と諭され、さらに“離婚したいですか、それとも夫に女性と別れてもらって、やり直したいですか”と尋ねられました。不倫は許せないけど、離婚の後に相手と夫が再婚するのも腹立たしい。ひとまず離婚は保留にして、夫の不倫の証拠を集めました。彼女と別れさせるためです」

 そして聖子さんは、夫に不倫の証拠を突きつけ、相場以上の慰謝料を提示した。すると夫は「離婚は難しい」と断念したという。

不倫相手と別れ、料理教室もやめた夫は、実家の母親から料理を習いました。

 やはり夫を愛していたのだ、と思います。味覚オンチの私でも夫の料理が美味しく感じるようになって、夫に感謝すると、夫婦関係も改善され、妊娠しました

 長女が誕生すると、家庭が明るくなった。夫は引き続き料理担当で、長女も夫の料理を絶賛しているという。