“わひゃひゃひゃひゃ!”
相方が気絶させたカメをあなたが蹴落とせば、ハエにやられそうな相方をPOWブロック(これを下から突き上げることで画面全体を突き上げたことと同じ効力を発揮する=敵が遠くにいても気絶させることが可能)で救出するあなた。
息のあったコンビネーションはまさしく最強タッグ。この勢いならゲームクリアも夢ではない。
と思った矢先に、目の前に怒ったカニが飛んできました。
??
どういうこと?
「ごめんごめん。カニは2回たたかないとダメってこと忘れてた~」
仕方ない。誰にだってミスはある。まだ1ミスだ。気を取り直してカニ退治を……。
と思った矢先、今度は気絶したカニがよみがえり、こちらにすっ飛んできた。
誰だ、POWブロックをたたいた奴は……。
「わひゃひゃひゃひゃ! ひっかっかった!」
おまえ、わざとやってるだろ!
「これ、殺し合いのほうが絶対おもしろいわ! わひゃひゃひゃひゃ!」
殺し合い……だと?
そっちがその気ならやってやるよ! タッグ解消だ!
オレのマリオで好き放題させてなるものか!
といった具合で、マリオとルイージの仲間割れが日本各地、いや世界中で発生したのでした。
さて、本題に進みましょう。
その友達をパートナーに選んだのはあなたでしたよね?
仲のいい友達こそベストパートナーであると考えたのはあなたでしたね。
しかし、待っていたのは攻略ではなく、見事な仲間割れ。協力プレイをするはずが、遊び時間リミットの夕方5時まで凄惨極まりないバトルを続けることになってしまいました。
このとき学んでいたのです。
「仲のいい友達と仕事をしたからといって、成果があがるわけではない」
ということを。
パートナー選びに困ったときはマリオブラザーズで過ごした、あの凄惨な日々を思い出してください。
黙ってPOWブロックをたたくような人はパートナーに選んじゃダメですよ。
マリオで痛い思いをしたあなたなら、もうパートナー選びはしくじらないですよね?
(文/野中大三)
《PROFILE》
ゲームとプロレスをこよなく愛するコラムニスト兼ドット絵師。電子玩具開発を経て、株式会社カプコンでテレビゲームのプロデューサーを務め、オリジナルタイトルや人気シリーズタイトルのプロデュースを手がける。現在も電子ゲームの開発に携わっている。35年にのぼるプロレス観戦歴とゲームプレイ歴の経験から日本最大のプロレス団体、新日本プロレスオフィシャルサイトでコラム「ゲーム的プロレス論」を連載中。プロレスラーをドットで表現する「dotswrestler」を Twitter で公開中。