こしあん・つぶあん
さらには今年11月、コンビニ大手のセブン-イレブン・ジャパンが公式ツイッターで、「あんまんの境界線」についてツイートし、話題を集めたのをご存じだろうか? 東日本ではこしあんが、西日本ではつぶあんが使われているという内容で、紹介されていた分布図はやはり「味の境界線」を境に、東西に二分されていた。
「ちなみに東西で好まれるあんこが異なるのは、原料である小豆の品種による違いからでしょうね。西日本エリアの丹波や備中産の小豆は煮崩れしにくいけれど、東日本エリアで使われる北海道産の小豆は皮がやわらかく、煮崩れしやすい。そのため小豆を漉(こ)して使ったんです。そうした事情から、あんこの境界線が生まれたというわけです」
白ネギ・青ネギ
関ケ原で分かれるのは、味つけや調理法だけではない。食材の「天下分け目」にもなっている。例えば、ネギ。関東で白ネギが好まれるのに対し、関西では青ネギが重宝されている。
「肉や魚の臭みを消し、ネギ自体に甘みもあるとして、関東では白ネギが使われます。ところが関西では、だしと同様に料理の見た目も重要。盛りつけの際の彩りや香りを重視して、青ネギが好まれる傾向にあります」
関西では肉=牛肉、肉まん=豚まん
カレーに入れる肉の種類にも違いが。東日本では豚肉が定番だけど、西日本の場合、牛肉を使う家庭が大半だ。
「東日本では飼育数の少ない牛はお友達(笑)。農耕用として大切に使い、食用にするのはもっぱら豚肉で養豚業も盛んでした。それとは反対に西日本では、近江牛、神戸牛などの良質な肉の牛が多く、農耕用の家畜、牛車などにも牛を使っていました。そのため食肉にしやすかったんです。今でも関西では、肉まんのことをわざわざ“豚まん”というほど、食肉は牛肉がスタンダードなんです」