角餅・丸餅

 古くからの歴史に根差した違いもある。正月をはじめ祝い事の定番品・お餅は、東日本での主流は長方形の角餅、かたや西日本では平べったい丸餅を食すことが多い。

餅は、もとは神様に奉納する品。切れ目なく、丸くこしらえるものでした。しかし江戸時代になると、関東の武家社会では合理性を重視した。1つずつ丸める手間を省き、のした餅を裁断して角形にするようになりました。その名残が今も残っているというわけです」

神様へのお供え物がルーツにある餅は丸い形(右)が基本。江戸時代に関東で変化した歴史を持つ

いなりずしの俵形・三角形

 餅とは反対なのがいなりずし関東では俵形がポピュラーだけど、関西では角ばった三角形が定番。

「いなりずしの場合、東西を問わず神様に奉納する意味合いで形作られています。東日本では豊穣(ほうじょう)に感謝するとして、俵形になりました。一方、西日本では京都・伏見稲荷大社の稲荷山や、祭神の使いであるおきつねさんの耳を模して、三角形をしています」

関西では三角形(左)、関東では俵形(右)が定番のいなりずし。実は、原形は棒状だったという説もあり

(取材・文/渡辺晴美[つきぐみ])