“がんの女なんてムリ”心ない言葉に号泣

 原さんも経験したように、恋愛や結婚に切実な悩みをもたらす女性のがん。なかでも、乳がんと子宮頸がんは、近年20代、30代の患者が増えている。一般に多くのがんは、加齢が大きな危険因子のひとつであり、患者数は50代、60代から増加傾向になる。

 ところが、乳がんや子宮頸がんは50歳未満での発症が多く、結婚、子育て、仕事を直撃する。また、国立がん研究センターなどによる報告では、20~39歳では、がん患者の約8割を女性が占めていた。それは子宮頸がんと乳がんの増加が主な原因だと考えられている。
(※国立がん研究センター・国立成育医療研究センター「院内がん登録 小児・AYA世代がん集計について~がん診療連携拠点病院等院内がん登録2016-2017年小児AYA集計報告」より)

「よつばの会」の会員であるYさん(30歳)は、8年前、22歳のときに初期の子宮頸がんが見つかり、子宮頸部円錐切除術を受けた。彼女も、恋愛でつらい思いをしてきた。Yさんが24歳のとき、がんのことはいわずに交際していた彼がいた。そろそろ話をできる関係になったかと思い、がんで手術を受けたことを打ち明けると、“そんなの関係ないよ”との答えが返ってきた。ところが、あとで友人から、彼が陰では“がんの女なんて、ムリじゃね?”と言っていたという事実を聞かされたという。

 原さんはこの話を、Yさん本人から「よつばの会」の集まりで聞いた。

「Yさんは、ぽろぽろと涙を流しながら話してくれました。私もわかります。だれだって、健康できれいな女性として男性に愛されたい。病気のことで嫌われたくない。私も自分の病気を受け入れられず、病院から足が遠のいてしまった時期もありました」

 原さんは、病気に向き合うためにはやはり「支えてくれる人が必要」だという。「ひとりで抱え込まず、パートナーや夫、家族や友人でも、自分の状況や悩みを伝えることが大事。患者会に参加すれば思いをわかちあえる仲間がいます。私も人に甘えることは不得手でしたが、“人に頼っちゃってもいいんだ”と思えたらラクになりました

 心ない言葉に傷ついてきた前出のYさんも、のちによき伴侶を得た。難しいといわれていた妊娠、出産を乗り越え、30歳のいまは1歳3か月の女の子のママだ。自分の経験が、がんに悩む女性の参考になればとブログもはじめた。Yさんの活動を夫は「えらいね」「いいことだよ」と応援してくれている。