「謎」はどこにあったのか……。

 謎解明の野望をエネルギーに変えてゲームクリアをしたのに、謎の答えはもちろん、何をもって謎と言っているのかさえわからない。

 謎があったのかさえわからない。

 でも、プレイ前にタイトルに感じたワクワクドキドキの胸の高まりは、あなたにゲームクリアさせる、ばく大なエネルギーを与えてくれましたよね。

 そうです。

「謎」は中身に意味はないのです。

「謎」は「謎」だから意味がある。

 大したことがないものでも「謎」にすることで魅力が増すのです。

 世阿弥も風姿花伝の中で言っています。

 能の極意は「秘すれば花」であると。

 謎は謎であることにこそ最大の意味があるのです。

 もうわかりましたね。

 あなたを悩ませる上司のこの言葉。

「答えを教えることは君のためにはならない」

 答えはないのです。上司の方は大した答えなど持っていません。

 アトランチスに謎はないし、コンボイも出てこないし、十王剣も5本しかないのです。

 謎があるかのようにほのめかす上司には、5本だけの十王剣をたたきつけてあげましょう。

(文/野中大三)

《PROFILE》
ゲームとプロレスをこよなく愛するコラムニスト兼ドット絵師。電子玩具開発を経て、株式会社カプコンでテレビゲームのプロデューサーを務め、オリジナルタイトルや人気シリーズタイトルのプロデュースを手がける。現在も電子ゲームの開発に携わっている。35年にのぼるプロレス観戦歴とゲームプレイ歴の経験から日本最大のプロレス団体、新日本プロレスオフィシャルサイトでコラム「ゲーム的プロレス論」を連載中。プロレスラーをドットで表現する「dotswrestler」をTwitterで公開中。