「いい企画書だけど、ここに誤字があるから却下だ」
「精算書の店名が正確ではないので再提出をしてください」
「ご提出いただいた書類の日付が間違っているので受領できません」
現代社会はなにかと誤字脱字に厳しいものです。
意味がわかっている時点で書類の目的は達成できているはずなのに、なぜたかが1文字に目くじらを立てるのか。
訂正が必要ならそっちで直してくださいよ、もう……。
1文字のミスで大切な手続きが滞ってしまったり、厳しい指摘を受けてしまった、という経験は誰もがあるものです。
1文字くらい大目に見てよ、という甘い考えは社会が許しません。
誤字脱字は厳罰に値する重大ミスなのです。
そう、それは懐ゲーで経験しているのです。
今回ご紹介するタイトルは、1988年にハドソンさんから発売されたPCエンジン用タイトル「邪聖剣ネクロマンサー」です。知る人ぞ知る伝説のタイトルと言っていいでしょう。
このタイトルから現代社会を生き抜く処世術を学ぶことができるのです。
最大の敵はゲームの外に存在していた
ゲームの紹介をしましょう。
このゲームはPCエンジンでは初のRPGタイトルで、ファミコンよりもきれいなグラフィックを最大の売りにしたロールプレイングゲームです。
クトゥルフ神話をモチーフにした中世ヨーロッパ調の世界で、光の種族と闇の種族が戦う一大戦争が勃発しようとしています。ディープな物語とグロテスクなモンスターのグラフィックがおどろおどろしい、冒険体験ができるゲームでした。
ウネウネと不気味に動く敵を倒すと、なんと血しぶきを飛ばして死んでいくという衝撃的な演出が強いインパクトを残してくれました。
「夜、一人では遊ばないでください」
この強烈なキャッチコピーも突き刺さり、それまでの家庭用ゲームでは味わえないような本格的なゲーム体験ができると期待してプレイしたユーザーが多くいたことでしょう。
果たしてこのタイトルは見た目相応のハードな体験ができる、いわゆる歯ごたえのあるゲームでした。
2、3歩ごとに敵が現れるという出現率の高さ。
視界がほぼゼロのダンジョン。
アイテム所持数がやたらと少ない道具袋。
強力な武器や防具の入手方法はほぼノーヒント。
シナリオ攻略が目的のゲームなのに、最重要アイテムをうっかり売却できるという、頼んでもない自由設計。
何かとハードな冒険を強いられるタイトルですが、最大の敵はゲームの外に存在していました。
それは「パスワード」です。