(c)2022映画『今はちょっと、ついてないだけ』製作委員会

「この映画に出てくる人ってみんな不器用だけれどピュアなんですよね。ただ生き方が下手くそなだけで。でも、何が正解かってきかれたら、社会的に成功してお金をもうけてっていうのが幸せなのか、本当にピュアで生き続けるのが幸せなのか、もうわからないじゃないですか。

 子どもを育てるにあたっても、純粋な思いでいえばずっとピュアに育ってほしいと思うけど、社会に出ることを考えたら、やっぱり多少は汚いものも教えてあげなきゃいけないのかなって思うじゃないですか。その予防線を張るというか、どこかずる賢さがないとうまく立ち回れない世の中になってしまっているというか。でも親が子どもに“ずる賢さを教える”って、ちょっと違くないですか!? すごく難しいなぁと思います

──これからも俳優人生が続きますが、玉山さんはどこに向かっていくのでしょうか。

「そこについては特に何も考えていないですね。僕があれをやりたい、これをやりたいといって作品が成立するわけでもないし。裏を返せばこういう自分を提供したいとか、こうありたいというのはないってことで。

 でも、昔はいわゆる “かっこいい役”がすごく多かったなか、このところ『全裸監督』シリーズにしてもすごく変な役(笑)。そこを自分で切り開いていけたのかなとは思います

──そういう役をやらせたいと思う人がいるってことですよね。

「たぶん昔の自分も、やれと言われていたらやっていたと思います。ただ “やってくんないな”とか“玉山にこれはさせられないな”と思われていたんでしょうね。自分自身ではそこまで変わった印象はないんですけど」

Netflix『全裸監督 シーズン2』の完成披露にて。ビニ本を出版していたが、主人公のAV監督・村西とおる(山田孝之)と出会いプロデューサーとして伴走する「川田研二」役でシーズン1に引き続き出演(2021年6月) 撮影/高梨俊浩

 近年は実写版映画『ルパン三世』の次元大介、明石家さんま本人を演じたドラマ『Jimmy 〜アホみたいなホンマの話〜』、赤塚不二夫を演じた『バカボンのパパよりバカなパパ』もあった。セックス依存症の妻をもつ『雨が降ると君は優しい』も、政治部の新聞記者を演じた『トップリーグ』も印象に残る。

──役をつかむために努力していることはありますか。

「本当に意識の問題だと思うんですよ。自分が “できない”と思ったらそこで止まっちゃう。自分にその要素が少しでもあるんだったら、僕は積極的に全部やろうと思っています。

 だから、すごく調べて準備をします。実在の人物を演じるときは、昔の映像があるんだったらめちゃくちゃ見ますし、そうでなくてもひととおり資料にあたりますね。オファーをいただいたら、そのオファーに期待値以上でお返しして、作品のクオリティーを上げていくことが俳優の仕事だと思っています

玉山鉄二 撮影/廣瀬靖士

《作品情報》
映画『今はちょっと、ついてないだけ』
出演:玉山鉄二 音尾琢真 深川麻衣 団長安田/高橋和也
監督・脚本・編集:柴山健次
2022年4月8日(金)新宿ピカデリー他全国順次ロードショー
公式サイト https://gaga.ne.jp/ima-tsui/
(c)2022映画『今はちょっと、ついてないだけ』製作委員会

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《PROFILE》
たまやま・てつじ/1980年4月7日、京都府生まれ。身長182cm。1999年ドラマ『ナオミ』で俳優デビュー、2005年『逆境ナイン』で映画初主演を果たす。2009年映画『ハゲタカ』で日本アカデミー賞優秀助演男優賞を受賞。2014〜2015年NHK連続テレビ小説『マッサン』では、主人公の“マッサン”こと亀山正春を熱演。
公式サイト https://merrygoround.co.jp/tetsuji-t