東北の人々に誇りを──。鳴り止まない拍手

 村は『いいたてティーパーティー』と称して、コンサートや寄席など各種イベントを催してきた。白崎さんらの公演もこのティーパーティーの一環だ。

「村に戻ってきた人も、今も避難先で暮らしている人も、みんなが一同に集まって楽しめる『場所づくり』になればいいと思っています」(村役場、生涯学習課の大森真さん)

県立福島高校ジャズ研究部と共演する白崎映美さん=5月7日、福島県飯舘村「交流センターふれ愛館」 牧内昇平撮影

 この日にコンサートで披露した十数曲の中には、福島にまつわる曲がたくさんあった。

『夜ノ森月ノ下』は、福島第一原発に近い福島県富岡町に「夜ノ森」地区、「月の下」交差点という美しい地名があることから生まれた歌だ。

 小峰さんがメーンで歌った『相馬二遍返し』は、江戸時代に相馬藩(現在の福島県内)で歌われた民謡だ。「天明の大飢饉」で多くの人が亡くなり、人口が減った相馬藩が、各地から人を呼ぶための歌だったという。「福島ににぎわいを取り戻したい、という思いで歌いました」と小峰さんは話す。

 コンサートの最終盤に披露した「まづろわぬ民」は、東北の人びとに誇りを与える歌だ。福島高校ジャズ研究部と共演し、観客も総立ちになった。

♪多く語らず 恥ずかしがりやで

気持ぢの優しい民だ

抑え切れないこの衝動は

確かにあなた方の末裔だ♪

 コンサートは約1時間半。アンコールの場面。ステージに戻った白崎さんが、飯舘村内の農家から花をもらった話をした。飯舘は花卉栽培が盛んな地域だ。

「お花をいっぱいいただいて、ほんとにうれしかったです。これからも、いろんなことをいっぱい教えてください。仲よくしてほしいなと思います。また、元気で会いましょうね」

 心のこもったMCのあと、白崎さんが新曲『うた』を歌った。

♪うた なぜ 人は うたう

あの人の涙をうたに変えて

あの人の悲しみをうたに変えて……♪

 鳴り止まない拍手の中、コンサートは終わった。

 終了後、白崎さんは話した。

「福島のみなさんが拍手してくださったというのは、とてもうれしかったです。東北6県ろ〜るショー!!で、“東北さ、いい事来い”って、しつこくやり続けたいと思っています」

 白崎映美さんとバンドメンバーたちの旅は続く。

(取材・文/ウネリウネラ・牧内昇平)


【INFORMATION】
『白崎映美&東北6県ろ〜るショー!!』次回公演
5月28日(土)、『八王子音楽祭2021和~るど・ミュージック祭り!!』で開催
チケットの予約や問い合わせは以下へ
◎公益財団法人『八王子市学園都市文化ふれあい財団』(電話:042-621-3005、URL:https://www.hachiojibunka.or.jp/icho/archives/eventinfo/2021-10/
◎株式会社プランクトン(電話:03-6273-9307 ※平日13〜17時、URL:http://www.plankton.co.jp/ticket.html