夫・フランクは「音楽の師であり、ベストフレンドでもある。彼の作品も大好き」
退団後も、'11年にフランクのミュージカル作品『ドラキュラ』で主演を務めました。'01年の初演以降、ブロードウェイでもヒットし世界を回っていた作品で、初めて女性がドラキュラ役を演じるということで話題になりました。フランクに呼んでもらい、'07年、オーストリアのグラーツでの公演を観たときに、自分でも演じてみたいと思ったのですが、フランクにも「日本で上演するなら、和央ようかでやりたい」と言ってもらっていたんです。『選ぶべきもの』というフランクの新曲も加えて'13年に再演もされていますが、また機会があれば、ぜひ挑戦したい役です。
フランクは音楽の師であり、ベストフレンドでもあります。人間的に大きいんですよね。何事にも動じないし怒ることもない、もめることもない。ふわーっと包み込んでくれるような。
宝塚の退団公演が終わってからも、よくメールをくれていました。返信することはあまりなかったのですが(笑)、日本に来ると誘ってくれて、会えるときは会っていました。私はニューヨークにあるコロンビア大学の語学学校に5週間、通ったことがあるのですが、当時、それを知ったフランクが『ドラキュラ』のプロデューサーに「和央がニューヨークに来ている」と伝えて、みんなで会う機会を設けてくれたんです。そのときの食事会で、フランクが誰にでも分け隔てなく温かいことに気づきました。立派な肩書きのある人にも、ウェイターさんやお店のスタッフにも友人にも、どんな人にも同じように接する。そんな姿に惹かれて、そこから徐々に結婚まで至ったという感じですね。
普段は、仕事の話はまったくしないのですが、お互いの近況報告、その日のできごと、ささいなことまでなんでもシェアしています。出かけるときもほぼ一緒です。私は和食、フランクはハンバーガーやステーキという典型的なアメリカンフードが好き、と食べ物の好みが違うくらいで、考え方や趣味も似ているので、そばにいて気持ちがとても落ち着きます。
音楽家として尊敬していますし、彼の作品も大好きです。先日も、ロンドンで開幕した『ボニー&クライド』を観て大感激でした。『ジキル&ハイド』や『ドラキュラ』『スカーレット・ピンパーネル』を代表とする壮大なイメージがフランクの音楽の持ち味かと思いますが、『ボニー&クラウド』は、いかにもザ・アメリカ的な軽快でかっこいい曲調です。日本でも'12年に上演されていますが、再演されるといいな、と思っています。
いつもはハワイでのんびり海を眺めながら暮らして、たまに日本に帰って仕事モードに入るという今のサイクルは、理想的なライフスタイルですね。フランクは、私が「和央ようか」でいるべきだと思ってくれて、仕事をすることを応援してくれています。音楽的な質問に答えてくれるし、選曲とかアレンジのことなども相談にのってもらえる。英語の発音が悪ければ教えてくれるし、仕事をするうえでも最高のパートナーです。